マガッタ玉日記
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2008/06/28(土) 『#13 ASIA 〜キルギス』
6/28 『幻の湖』


テンションはあがる。
上へ上へ。
それを遠くから眺めたら、僕はまず叫ぶ。
「うわ、すっげー青!」
近づいたらまた叫ぶ。
「わお、すっげー透明!」
本日、幻の湖『イシク・クル湖』の近く「チョルポン・アタ」にやってきた。

***********

キルギスには「中央アジアの真珠」と呼ばれる湖がある。
ソ連時代まで外国人は立ち入り禁止で、天山山脈の山ひだに隠されたこの湖はかつて「幻の湖」と言われていた。
それが「イシク・クル湖」。
じゃあ今からチョルポン・アタ行きのバスを捕まえて、幻を解きに行こう。

***********

宿にでかいバックパックを預け、小さなリュックにここ数日必要なものだけを詰め込む。
「んじゃ行ってきます」
カザフスタンビザがおりるまで、3,4日ビシュケクを離れることにした。
僕はマルシュルートカ(ミニバス)に揺られてチョルポン・アタを目指す。
赤茶に続く地平線を眺めながら、お気に入りの曲をかけていくと次第にテンションはあがっていく。
そうして走ること数時間、突然地平線の色が変わった。
真っ青に輝く地平線。
「…え?」
いや、これは地平線じゃない。
これは、水平線?
ってことはこれがイシク・クル湖。

内陸国キルギスにも海はあった。
東西180キロ、南北70キロ。
その湖はとにかく真っ青ででかかった。
「すっげー青!」
僕はこの湖が見たかった。
僕にとってキルギス一番のハイライトはこの湖だったんで。
不思議な湖。
神秘の湖。
遠くからは真っ青に見えた湖も近づけば湖底が覗けるほど透明度が高い。
この湖には三つの不思議がある。
一つ目は世界第二の高山湖、海抜1600mに位置しているのになぜか凍らないこと。
イシク・クルってのはキルギス語で『熱い湖』って意味だそうで。
二つ目はこの湖に流れ込む川は100を越えるのに、なぜか流れ出る川が一つもないこと。
それでも溢れることなくバランスを保ち続けている。
そして三つ目はこの湖底には謎の集落が沈んでいること。
「え、湖に沈んでるの!?」
いつ、どこの何族が暮らしていたかも分からない謎の集落が沈んでいるらしい。
「え、ダムじゃなくて、湖に?うそぅ!」
その証拠に世界屈指の透明度を誇るこの湖は上空からその集落が見える。
なぜ?
ダムなら分かる。
ダムは人が作るから。
村をダム底に沈めることはたやすい。
海も分かる。
海抜は年々上がってきている。
現に今にも海に沈みそうな国もある。
だから海底都市も説明がつく。
でも湖はそうもいかない。
なぜ湖のそこに村がある。
湖がある日自然発生したわけでもなかろうに。
「…なぜに、なぜによ」
ない頭で考えたところで出る答えはない。
それでもそんなことを考えながら、陽は沈んでいく。

***********

夜、小便をしようと離れの便所に行くと息が止まった。
「星、すっげー!」
慌てて宿の光も届かない草原に恐る恐る歩いていく。
適当なところでヘッドライトを消し、上を見上げると天の川が見えた。
「天の川ぁぁぁぁぁ」
天の川に流れ星が駆け込んでいく。
「流れ星ぃぃぃぃぃ」
すごく綺麗な星空だった。
が、ここは我慢。
これ以上はやめておこう。
確かにすごく綺麗だが、ここはぐっと堪えて我慢だ。
僕は宿へ戻りながら、一人つぶやく。
「アルティン・アラシャンはこんなもんじゃないはずだアルティン・アラシャンは…」
とかなんとか。
夜空の楽しみはまた明日。
明日は電気もない山小屋に向かおう。
そう思うよ。

2008/06/27(金) 『#12 ASIA 〜キルギス』
6/26 『旅ときどき芝居』


ビシュケクには『日本センター』というのがあるんで。

日本(ヤポン)とキルギスの交流の証、
館内の壁にはキルギス人が書いた書道や折り紙が貼られ、棚には日本の小説や漫画、雑誌からDVDが並べられている。
「キルギスなんて国、聞いたこともなかったのに」
僕の知らないところで僕の生まれ育った日本とたくさんの知らない国は交流している。
面白い。
今まで知らなかった土地でも知らない人たちは知らない生活を送ってる。
面白い。

***********

「あ、あ、あったよ…」
日本センターを探していた。
炎天下に頭をやられ、諦めかけた帰り道に小さな日の丸国旗を見つけた。
立派な建物だと思っていたが、予想に反して「日本センター」は古びたアパートの一室のようなところにあった。
これじゃ見つからない。
「早く、早く中へ」
今は小説なんかより涼しい部屋を求めてる。
ギイィと扉を開け、まず無料の冷えた水を飲み干すと、本棚を物色し始めた。

みんな、長く旅を続けるとどうしても日本食と日本の活字が恋しくなる。
もしかしたら何もすることがなくなった旅人さんにとってここはパラダイスかも知れない。
いくらでも時間が潰せる。
でも僕はまだ1ヶ月弱と短いので、なんのことはない。
好奇心もまだ磨耗していないし、日本から持ち込んだ味噌汁も醤油もまだまだなくならない。
ただ、日本センターには「ガラスの仮面」という漫画が置いてあった。
古ぼけた印刷で「ガラスの仮面」の帯が何十巻と続いている。
続きものの漫画に手を出してはいけない。
閉館までもう1時間もないんだから。
そう思いながらも僕の手は1巻に伸びている。
「…えぃ!」
ぺらぺらと流し読む。
「おお、これが噂に聞くお芝居の話の少女漫画か…」
ぺらぺらと2巻も流し読む。
「…ぉぉ…おお…おおお」
続いて3巻、4巻、5巻。
うん。
面白くない。
大して面白くない。
でも。そろそろ何かやりたくなってきた。
そろそろ面白いことを考え始めようかと思う。
そう思うよ。


6/27 『目的を聞かれたら困るけれど』

朝9時。
タジキスタン大使館を訪れる。
預けていたパスポートを受け取り開いてみると、そこには「タジキスタンビザ」が貼られている。
それを眺めて、にやりと笑う。
『これでタジクに行ける』
でもこの国についてはまだ何一つ分かっていない。
何しに行くのやら。

朝10時。
タジキスタン大使館に行った足で、今度はカザフスタン大使館を訪れる。
パスポートに証明写真、前に受け取っていた書類と大使館への申請願いの手紙を渡すと、ガラス越しの領事が言う。
「THUESDAY PM6」
僕はノートを取り出しすぐに書き取る。
木曜、6時。
『よし、これでカザフスタンに行ける』
ただ、この国についてもまだ何一つ分かっていない。

目的はなんにせよ、「スタン系一周の旅」の準備は木曜にはすべて整う。
それまでの6日間はどうしよう。
まずは簡単なトレッキングにでも行ってみようと思うよ。

2008/06/15(日) 友の居ない友の部屋
金曜の夜から実家に帰った。土曜日に親戚一同が集まって、九十五になるお爺ちゃんの長寿を祝う、アンド法事を一緒にやるためだ。
改めて、従兄やおばちゃん達に久々に会うと
やっぱ色々と聞かれる。

結婚しないのか?
テレビ何時でるのか?
バイトは何やってんのか?
酒呑みながら、見栄張りながら答えるけど、チョット疲れる。
マァ良いじゃんって言いたくなる。
でも普通に考えりゃそんなもんか。で、二日間実家にいたけど、居心地的に飽きたから、朝早く起きたから、たまたま通りかかったから、休みに来たよ(^O^)

玄関開けると、少し埃っぽい。そりゃそうだ。
大分誰も来てないでしょ?
換気する。

ふと見ると、洒落た感じに手紙が置いてあった。
何?
さすがっ!!
自分の名前が載ってる手紙に嬉しくなる。
うんっ!!今日はコウジロウ(^O^)
プラッと立ち寄って、まったりしてるよ。
大分、そちらは楽しそうで★☆

あんたのかおりが消えないように、なるべくいじらずまったりしてます。
なんだかな?
変な気分。

でも、日差しがやさしい日曜の午後、世田谷
落ち着くわぁ☆★☆
コロコロ少しかけとくね。
そんな感じで、崇んちからマガッタブログをお送りしました。
コウジロウは、元気してるよぉ!!!

2008/06/12(木) 『#2 ASIA 〜中国』
6/9 『西へ西へ』

昼前に起きると、そこは上海。
海外初日の朝ってのはいつも不思議な気分で。
天候はほんのり雨。
いいや、傘なんていらねーや。
ぶらぶらとショウロンポウを食べに行こう。
にしても、半年前に来たばかりなので、上海でやりたいことはもうあんまない。
ってことで「トンコウ」へ行こうと思う。
35時間、3300キロを一気に西へ駆け抜けよう。
四川で足止めはされたくない。

20時48分、やがて一車両3段、22列の寝台車はゆっくりと走り出す。
夜行列車はやっぱりいいな。
長距離であればあるほど、旅を感じる。

船から列車へ。
パキスタンに入るまでは移動移動の旅が続く。
今はただ、西へ西へ。


6/10 『初めてのウイグル語講座』

車両と車両の連結部分でタバコをふかしていると、若い女の子3人に声をかけられた。
ウイグル自治区に住む20代前半の女の子たち。
シュイジャンナ、メイリー、ジョウジャオー。
シュイは片言の日本語が話せた。
だから漢字、日本語、英語で僕たちは必死に会話する。
特に必死なのは僕。
男にとって地元の言葉に慣れるにはこれが一番いいんじゃないか?
なんとかこの女の子たちを笑わせたくなる。
いわゆる中国区に比べ、ウイグルのあたりまでくると皆、目が大きくなり顔が整ってくる。
いわゆる美人さんが多いんで。

彼女たちは何度も聞いてくる。
「あなたは上海には手漕ぎボートで来たの?」
僕がその度に「NO!!」と大袈裟に答えれば、彼女たちは大きく笑う。
会話が盛り上がった頃、彼女たちはまた聞く。
「タカシは上海には泳いできたの!?」
お、そうきたか。
僕は十分に間をとって今度は「YES!!」と答える。
どうだ。
彼女たちの顔を見ると、会話はもう次に流れていた。

「ウイグル語教えてよ」
そう頼むと、3人の中でも特に陽気なメイリーが買って出てくれた。
「力を抜いて」と優しく僕の手を取る。
初めて書いたウイグル文字はなんだかへにゃへにゃとしていた。
「メイリー、これはなんて意味?」
「メイリー」

彼女の名前の書き方を覚えた。


6/11 『砂』
 
早朝5:50、「トンコウ」の近く「柳園鎮駅」に着く。
ここは甘粛省の西端あたり、ウイグル自治区の目の前だ。
今の時期、昼は37度を越すそうだが、朝は寒い。
バックパックから上着を一枚取り出し羽織ると、陽気なタクシーの運ちゃんと交渉を始めた。
「よし、25元で」
やがて乗客4人が集り、「行くぞ!」と大きな掛け声が響く。
タクシーはゴビ灘を駆け抜けた。
その間、123キロ、延々と一本道が続いた。
地平線、地平線、地平線。
いつの間にか眠りに落ち、、目を覚ませばそこが「トンコウ」だった。

ここには「鳴沙山」という砂漠が広がっている。
「すっげー!圧巻だー!!」
砂に足をとられながら登る。
息を切らし、ようやく辿り着いた景色は細かい砂がジェラートのように滑らかにそびえ、壮大だった。
遠く眼下にはラクダが群れ、三日月の形をしたオアシス「月牙泉」が輝いている。
「早く落ちないかな」
19時。
砂山の頂上で僕は「砂漠に落ちる夕日」と「砂漠に浮かぶ月」を心待ちにした。
でもまだ陽は沈まない。
20時。
太陽はまだ西の空に存在している。
昼のような明るさだった。
「これは白夜か…?」
ここを21時過ぎには出なければ、バスがなくなってしまう。
焦りはじめた21時、夕焼けの変わりに見えたのは、遠くの町が真っ白になっていく姿だった。
町、道、森が白い靄に飲み込まれ、それはどんどん近づいてくる。
「…あ、やば。砂嵐だ!降りなきゃ!」
冷たい風が吹いたかと思うと、あっという間に白い靄に飲み込まれていた。
「砂嵐、すっげー!」
思ったほど辛くはなかった。
嬉々と砂山を滑り落ち、町に帰ってきた。
夜11時、ようやく待ちは暗く包まれた。

砂漠の夕焼けは見れなかった。
まあいい。
明日、夜行バスに揺られ「ピチャン」へ向かおう。
そこではまた違った砂漠の夕日に出会える。
西へ西へ。


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