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2008/05/13(火)
『隠れた名所、ウズベキスタン』
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「ウズベキスタン」。 ってどこ? ってどういうとこ? って知らない。 って知ってることは何もない。 って強いて言えば危ないところなのかなあくらい。 じゃあ何を楽しみにこの国に行くの。 分からない。 けど、例えば今日、そのとっかかりを見つけた気がする。
とかなんとか。 ちょっとした出来事だけで、知らなかった国を知らないままに好きになったりするもんで。 今日はそんなお話。
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今日、VISAを発給してもらいにウズベキスタン大使館にいってきた。 目黒区下目黒。 「・・・たぶんここいらのはずなんだけど」 行きつ戻りつを何度も繰り返しやっと見つけた大使館は予想に反し、 普通の建物だった。 建物というかちょっと高級な家、といった感じ。 目印として掲げられているウズベク国旗も今日は小雨に濡れポールにくっついている。 閑静な住宅街に隠れるように建っていた大使館はすっかり目黒に馴染んでいた。
門が閉まっている。 「休みか?」 そう思って入り口に近づくと「領事館に御用の方は裏口にお回り下さい」と書かれていた。 案内にしたがって裏口に回ると、そこに入り口があった。 普通の門と普通の扉。 普通の家だ。 「大使館」とか「領事館」とかってもっと立派じゃなくていいの。 心配になってくる。 ウズベキスタンはまだいい。 まだいくらか知名度がある。 もしかしたらまったく無名な国の大使館はボロアパートの一室かもしれない。
扉を開けると、他に申請者の姿は見えなかった。 日本人女性の案内に従って、僕はぽつんと一人大広間に通された。 やがてそこにきちっと背広を着込んだウズベク領事官が入ってきた。 縁なし眼鏡をかけたすらっとした男。 「コンニチハ」 「こんにちは!」 そうそう。 あなたみたいなきちっとした人が大使館には必要だ。 その国の威厳を見せ付ける様な人間が。 それにしてもこういう時、何もしてないのにやましい気持ちになるのは何故だろう。 途端、僕は緊張してくる。 しっかりと受け答えをしなければ落とされる、そんな気がしてくる。 僕の気持ちを知ってか知らずか、男は黙って僕の申請書類を確認していた。 それから質問を投げかけてきた。 少し甲高い日本語で。 「アナタハドレクライタビスル、ヨテーデスカ?」 「ウズベキスタンをですか?」 「ゼンブデ」 「今のところ半年くらいです」 「ワア!イイネイイネエ!」 「あ、はい」 「アナタハナニシテルヒトデスカ?」 「え?」 「シゴトシゴト」 「あ、はい!舞台なんかをちょろっと」 「ブタイ!ッテ、シバイ?」 「あ、はい」 「ワア!イイネー!コンドサソッテヨー」 「・・・え、あはい、是非観に来てください」 馴れ馴れしい。 あんた、そんな人だったんだ。 見た目からは想像つかない。
でも。 ウズベキスタン。 知らない国もこんなことだけで少し好意を持ってしまう。
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