マガッタ玉日記
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最新の絵日記ダイジェスト
2009/03/20 『移動のお知らせ』
2009/01/07 『どうしようもないね、こればっかりは』
2009/01/03 「どうしたもんかね、こればっかりは」
2009/01/01 『新年明けましておめでとうございます』
2008/12/31 『2008』

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2008/04/30(水) 『とかなんとか』
明日、幕が開く。
幕が開いたら、あっという間に千秋楽だろう。
千秋楽が終わったら、またあっという間に旅が始まる。
2008年芝居の締めくくり、
というよりもここ数日はどこか2008年の締めくくりという気がしている。
かなり気が早いが、そんな気がしている。

僕にとって世界をふらふらしている時間はどこかぽっかりと空いていて、
自分で自分に当てたロスタイムのような気がしている。
リセットする時間といえばいいか。
自分をさなぎ化させるというか。
こんな時間はなくてもいいが、あったらあったで面白い。






明日、幕が開く。
ここから先は、あっという間だ。
27のお前、用心してかかれ。





オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク

2008/04/27(日) 『数日前から』
もしあなたが今、夜道を歩いてるところならちょっと立ち止まって。
森でも道路でも、足音を止めると思った以上にシンとしている。
そして今はシンとした中に他の音も聞こえてくる。

「・・・・・・・・・・・・」





耳鳴りか。
いや、蝉が一匹鳴いている。

1匹?
2匹か,
2匹?3匹か?


いや4匹?
4,5匹?

5,6匹?
56匹?
560匹?
もう何匹でもいいや。

もうそろそろカブトムシも顔を出し始める。

2008/04/25(金) 『♂13』
綺麗に澄んだ青空の下、彼女が言う。
「綺麗だねー」
そんな彼女を見て、僕は返す。
「ああ、綺麗だ」

洒落ている。
今日の僕らは洒落ている。
優雅なクラシックでも流してくれないか。
そんな気分だ。
蜜蜂ブンブン、空に舞え。
「ああ、ブンブンも綺麗だ」
今日はいちいち洒落ている。
そんなことを思ったのは10年ほど前。
バラ園に行った。
そこでは見渡す限り、綺麗なバラたちが咲き誇っていた。
「バラ、バラ、バラ。色んなバラがあるんだね」
うん。
当たり前だ。
でも今日は全てが洒落ている。
そんな気分だ。
僕は一輪のバラに手を伸ばす。
そして顔を近づける。
「うん、良い匂いだ」
胸いっぱいに吸い込む。
バラの匂いが肺胞全てに行き渡る。
「・・・・あ」
そして吐く。
僕は花壇に咲き誇るバラにビシャビシャビシャと嘔吐する。
参った。
空気に飲まれ過ぎた。
僕は「匂い」に弱いんで。

***********

「毛皮のマリー」は男ばかりが13人。
今まで男ばかりの稽古場というのは何度かあったが、
「男だけ」ってのは初めてなんで。

「おはよーございます、・・・という相手もなし、フフ」
僕は大抵一番乗りで稽古場に入る。
そこでまずするのは換気。
換気扇、扉、窓を全開放し、新鮮な空気を送り込む。
「・・・ふう」
男が数人集まると、男臭いんで。
汗ほとばしる、とか熱を帯びた、とかではなく匂いの話。
僕は匂いに弱い。
すぐに脳みそがぐらぐら揺れる。
記憶を司る脳みそと嗅覚は一番密接につながっているそうだ。
なるほど。
すぐに部室の思い出が蘇る。
部室の思い出。
「・・・崇君・・・別れよう」
中三のバレンタインデーに呼び出された部室でそう言われた。
「男子部室に一人できて」
なぜ男子部室?でもまあ今日はバレンタインだ、とチョコをもらいにいったら振られた。
なんとまあ。
話が逸れた。
話は戻り、話は変わる。
ところで男臭い、これってなんだろう。
「男臭い」ってなんだろう。
不思議な匂いで。
たとえば前に男10人女2人という舞台があった。
でもあの時は「男臭く」なかった。
男が数人集まれば自然発生する匂いだと思っていたが、どうだろう。
女の子が一人でもいれば、「男臭さ」は中和される。
ってことは女の子が消してくれてんのか。
そんな話聞いたことないが、なんだか正解なような気がする。
それとも女の子がいない時だけ男は「男臭い」匂いを放つのか。
または女の子が「男臭い」匂いを消してくれる「女臭い」匂いを出しているのか。
「女臭い」。
面白い。
もし「女臭い」が「男臭い」を消してるなら、
10:2で男臭いがなくなるから、
「女臭い」は「男臭い」の5倍匂うのか。
なんだろう。
面白い。
「男臭いvs女臭い」
今度、そこいらの女子をつかまえて、議論してみたい。
誰か付き合ってくれないか。

で、今日衣装が届いた。
皆一様に着替え、それぞれの役に代わっていく。
毛皮のマリー。
男娼たちのお話である。
13人の男のほとんどが女になっていく。
女臭くなっていく。
で、ここでもう一度匂いを嗅いでみる。




うん。

2008/04/23(水) 『椎谷陽 四』
皆さん、お元気ですか?
こんにちは中村崇です。
気がつけば第四回目に突入しました「椎谷陽一」のコーナー。
はい。
ありがとうございます。
このコーナーはあなたの身の回りにいる陽一君を紹介するコーナーです。
まずは僕の身の回りにいる陽一君から。
今日の陽一君は稽古後に僕が雑務で残っていると「今誘わないと先帰っちゃうよ、・・・飲み、行かなくていいの、先帰っちゃうよ」と仔犬のような目で見てくる陽一君です。
目は口ほどに物を言う。
本当ですね。
言葉はいらない。
空気で分かります。
きっと僕たちは仲がいいんでしょう。
でも僕は飲みたくない気分だったので溜め息を一つ聞こえるようにしました。
すると、彼は稽古場をあとにしました。
お互いに無言でした。
「飲み」の「の」の字も言わなくても分かります。
もしかしたら僕たちはものすごく仲が良いのかもしれない。
だって何も言わなくても伝わるんだもん。
今日、彼はすごく飲みに行きたくて、僕は別に飲みに行きたくなかった。
そこに言葉って必要ない。
ただ、陽一君の後姿が哀愁ですね。
でもそれも分かっちゃうんだからすごい!
で、僕は今日も陽一君に話しかけてみました。
『陽一君、今日そろそろ「椎谷陽四」書こうかなと思います、なんかネタないですか』
『また書くの!?』
『はい。あのブログで陽一君を落とし込むんです。あ、今日のタイトル、「椎谷陽四」じゃなくて「椎谷陽なし(用無し)」にしようかな』
『ははは、洋ナシじゃん!』
『・・・ああ。面白いですね、じゃあそれそのまま載せましょう』
『ちょっと待って。崇、洋ナシってフルーツじゃん』
『・・・ああ。面白いですね、そのまま載せますね』
『崇、フルーツじゃん!』
なるほど。
「用無し」のつもりで言ったら、彼にとっては洋ナシです。
人間って分からない。
言葉って分からない。
フルーツかあ。
面白いのかどうかは別にして、勉強になります。
『フルーツじゃん!』
ありがとうございました。
『崇、フルーツじゃん!』
また来週。
『崇、フルーツじゃん!』
どこかの街角でまた「椎谷陽一」を見つけたらお会いしましょう。

2008/04/20(日) 『キミの心の中のトムソーヤは元気かい?』
やっぱり高橋歩って人はすげーなー。すげー素直だなー。僕は今日、久しぶりにテレビが始まるのをドキドキワクワク待っていた。砂嵐混じるテレビを薄目で睨む。そこではあったかい笑顔の男が喋ってる。 『大人が真剣に遊び続けると、それが仕事になる』 照れもなく、ブレもなく胸張ったら言霊だな。この人ってすげー楽しそうに生きてるな。 『大事なことは、なにを選ぶのか、ではなくて、選んだ後どう生きるか、だ』 この人は全身で笑って、全身で涙流してるな。豊かだな。 『ぐちゃぐちゃ言うな。やれば、わかる。』 素敵な笑顔だな。見てて恥ずかしいな。綺麗事って恥ずかしいな。 『必要なのは勇気ではなく、覚悟。決めてしまえば、すべては動き始める。』 うん。でも憧れる。 そう感じるといつも思う。 俺もなれるんだなー。
わお!綺麗事。




オモシロキコトナキコノヨヲオモシロク。
世界ガボクヲマッテイル、
ボクハ世界ヲムカエニイク。


























『Hello♪』

2008/04/17(木) 『刺青の水夫』
「きゃー、いいなあ!」
僕が女性に羨まれる部分があるとしたら、体の細さか。
ハリガネのような僕の体は、なんとまあみすぼらしい。
「どうしたらそんなに細くなれるのー?」
知らない。
遺伝じゃないか?
僕は彼女たちに共感できない。
女性には羨ましい細さでも、男の僕にとってはまあコンプレックスで。
一時は克服しようとひたすら筋トレをしていた時期もあった。
寝ている時以外24時間筋肉のことだけを考え続ける。
あまつさえ夢の中でも考える。
結果体脂肪7%。
できあがったのはマラソン選手のような体だった。
予定通り全ての脂肪は筋肉に変わった。
「でも違う、違うんだよなあ」
僕はもっと胸が欲しいんで。
引き締まったハリガネになりたいんじゃなくて、
タンクトップが似合うたくましい体になりたいんで。
彼女を肩に乗せて歩きたいんで。
「もっとおっぱいおっきくならないかなあ」
その点は女性と対等に語り合える。
僕だって男児たるものやっぱり図太くありたい。
で前回の舞台「ワニの涙」で僕のやった「少年ジゴロ」の衣装は半ズボンだった。
いけない。
特に脚はいけない。
長さも幅も足りていない。
「すごいね・・・脚」
ほらきた。
やっぱりすごいんだこの脚は。
ゴボウとセロリだ。
右がセロリでゴボウは左だ。
でも煮ても焼いても食べられないんだ。
「タカシの足は難民のようだ」
本当にそうだ。
ゴロリだ。
救済を求める。
大根がほしい。
うん。
で今回はどんな役ドコロか。
いや、それよりもどんな衣装か。
まだあんまり言っちゃいけないんだろうが、
まあ僕の細い体を余すとこなく魅せつける僕に打ってつけの衣装なんである。

「あ、本番近づいてきたなあ」

この衣装、実は舞台を始めてからの僕の小さな夢だったりはする。

***********

寺山修司没後25周年特別公演

『毛皮のマリー』
作 :寺山修司
演出:川村毅
会場:三軒茶屋シアタートラム
電話予約:
T-factory:03-3344-3005
劇場チケットセンター:03-5432-1515
電子チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード385‐561)
またはmagattatama@hotmail.co.jpに問合せ下さい。
上演日時:
2008年5月1日〜4日
5/1(木) 19:30 −
5/2(金) 19:30 −
5/3(土) 15:00 −
  19:30 −
5/4(日) 14:00 −
  18:00 −
料金:一般 5,000円/学生 3,500円
出演:
毛皮のマリー:川村毅
欣也(美少年):手塚とおる
紋白(美少女):菅野菜保之
下男/醜女のマリー:笠木誠
刺青の水夫:中村崇
鶏姦詩人1:伊澤勉
鶏姦詩人2/快楽の滓:村島智之
美女の亡霊:森耕平/森山光治良/椎谷陽一/村井雄/岡大輔/関洋甫


『毛皮のマリー』
会場:青森県立美術館シアター
上演日時:
2008年5月10日 (土) 19:00 -
2008年5月11日 (日) 15:30 -
料金:前売 2,500円/当日 3,000円
電話予約・チケット取扱:
青森県劇鑑賞会 Tel 017-722-7944

***********

オモシロキコトナキコノヨヲオモシロク。
どきどきすることはすべていいことだ。

2008/04/16(水) 『馬鹿の線〜人間のエゴについてのノート』
異国の地を歩き、眉間に皺寄せ、我思う。
異国の風に吹かれ、乾いた頬撫ぜ、我思う。
異国の人と触れ合い、頭かきむしり、我思う。
「国境」ってなんだ。
「国境」ってなんなんだ。
異国の隅で叫びたい。
中心でなんて贅沢は言わない。
異国の隅でいいから叫びたい。

「大地に線引いた馬鹿は誰だ!」

もはやIT媒体を使って、俺のミジンコ話なんて書いてる場合じゃなかった。
これを書かなければ。
「人間のエゴについて」
今日はそんなお話。
本日の中村崇は一味違う。
世界、斬らせていただきます。

***********

何にでもいい。
何かに何の変哲もない一本の線を引く。
するとそこには様々な意味が生まれてくる。
画用紙に一本の線を引けば水平線が生まれ、
アスファルトに引けば車線が生まれるように、
大地の上に一本の線を引けば、生まれてくるのは国境だコノヤロウ。
するとこの一本をずらそうと何億人単位の争いが始まるバカヤロウ。
それっておかしくないか。

ごらん。
本日、世界斬ってます。

***********

それでもなんとか俺が胸を撫で下ろせるのは、しょせん人間なんかにゃ空と海には線を引けないから。
そう考えるといや待て。
声が聞こえてくる。
「ここは日本国の海域である!直ちにその線から離れたし!もちっとそっちに行ってみたし!繰り返すここは」
もう引かれてた。
大地に引かれた馬鹿の線を伸ばしていくとやがて辿り着くのが海域、そして空域だ。
白、黒、赤、黄、色んな色で引かれてた。
じゃあ黄色い国の海域に入り込んだ魚ってのは一気に色が変わるのか。
尊ばれてる生命も馬鹿の線の前では物に変わるってか。
それっておかしくないか。
じゃあ全ての魚は海域線上に誘導しよう。
そうすれば誰も手を出せない。
ただ変わりにその針と網は隣国に向けられる。
いや、君の反論は聞かない。
俺は魚を線上に誘導する。
市民プールに通うことにする。

本日、中村崇が線を切る。

***********

世界は線がなくなったらどうなるだろうか。
あ?自国の伝統?アイデンティティ?なくなる?
なくならねーよ。
どこの先住民も自分の伝統は守り通してたよ。
あんたらのアイデンティティなんてただのブランドじゃねーか。
伝統は「国名」と関係のないところで守られてるよ。
「国境」なんてあっからいがみ合うんじゃねーか。
「国境」なんてあっから戦争が起こんじゃねーか。
あんたの目にオリンピックは平和に見えるか。
俺にゃ冷戦にしか見えないね。
個人で争うのはいい。
世界一を決めるのは良い。
でも国で争うことはない。
いや、そもそも国なんていらない。
国境なんていらない。
キリギス、
ウズベキスタン、
タジキスタン、
カザフスタン、
トルクメニスタン。
スタン系といわれる中央アジアの国々よ。
特に今、あんたらがよく聞いてくれ。
国渡んのにいちいちパスポートとかビザとかインビテーションとかオビールとかさあ。
・・・あのさあ、そういうことじゃないでしょ。
もう、分からないよ。
オビールの意味とかビザ取得の仕方とか俺の頭じゃ分かんないよ。
どうすればいいの。
どこの大使館行ってどの書類持ってけばいいの。
本当、分からないよ。
つまりさ、「人間のエゴ」が戦争の始まりってことが分かってもらえた?
そしたらさ、そのエゴを反省する意味で一つ、
半年だけでも俺のために国境なくしてくれない?

頼むよー。

2008/04/15(火) 『椎谷陽 三』
舞台・毛皮のマリーで毛皮のマリー役として主演する川村さんは、毛皮のマリーの演出家でもある。
んん、忙しい。
だから稽古中、最大限演出家としていたいときは代役を立てたりする。
と、
そこで登場するのが「薄毛のマリー」こと椎谷陽一君だったりする。
代役ってのは思っているより大変だ。
僕も何度かやったが、
これがなかなかどうして緊張する。
本役じゃないんだから楽だろう、
そうも思うがやけに緊張したりする。
多分これは僕だけのことじゃない。
例えば陽一君もそうなんじゃないかと思ったりする。
そして今日、そんな陽一君を見ていて思ったことがある。
僕に「ハゲハゲ言うな!」言う陽一君だけど、実はちょっとおいしいと思ってんじゃないかと。
だって「着替えますよ」という台詞を「毛替えますよ」と言い間違えてみたり、
「オオルリアゲハチョウ」という台詞を「オオルリハゲチャ・・オオルリハゲチャ・・・ハゲチャチョ、オオルリハゲチャチョウ」と言い間違えたりするんだもの。
絶対にハゲを売っている。
絶対にこれはわざと間違えたんだ。
これは絶対にわざと間違ったんだ。
僕はそう思っている。

まあ笑っているのは僕だけだが。


とかなんとか。
気がつけば「椎谷陽一」というタイトルももう第三弾、「椎谷陽三」まできてしまいました。
人の頭で遊んだりなんかして、すみません。
それではまた。
「椎谷陽四」でお会いしましょう。


そして。
マガッタお馴染みの「森山光治良」、合流。

2008/04/14(月) 『ありがとう浅見荘101号』
目が覚めると同時に枕元に置いてある携帯を手に取った。

「・・あの、もしもし、中村です・・・あの、実はですね・・・」

僕の場合、大切な用件と面倒臭い用件ってのは大抵寝起きに伝える。
そして大切な用件ってのはいつだって面倒臭い用件で。
「・・はい・・はい・・・そうなんですよ、すいません」
寝惚けてるうちに引っ込みのつかない所に無理矢理立たせ、嫌々事を運ばせる。

今日、家を解約した。

***********

四畳半風呂なしトイレ共同。
これが僕の家、浅見荘101号。
今では「浅見荘」って名前もこじゃれた横文字の「うんちゃらハイツ」に変わったけど、
中も外も何も変わらず昭和の雰囲気をぷんぷんと醸し出している。
ここに越してきたのは6年前。
そう。僕が芝居に携わった年。
「金がない!」
って理由もあったけど、本当はただの勘違いで越してきたんで。
その頃バイトばかりしていた当時の僕はある程度潤っていたけど、芝居ってのを勘違いしていた。
「だって俺さ、芝居始めるんだからあれだべ?四畳半風呂なしトイレ共同に住まなきゃなんないんだべ」
そう思っていた。
夏と冬に怯え続ける、それが芝居人。
そう思っていた。
でももちろんそれは大きな勘違いで。
日本にはもう忍者はいないし、侍もいない。
芝居をやってる人も忍者も侍もみんな普通の家に住んでいる。
でもまあ勘違いしちゃう人ってのは何も僕だけに限らずで、
201号のどっかの研修生は朝昼夜、毎日大声で外郎売とアメージンググレースを歌い続けている。
でも「住めば都」とは本当のことで、気がつけば僕はもう6年ここに住んでいる。
「半年以上日本を離れるんだ。それはさすがにもったいないだろ。・・・解約、しよう」
そう決めた。
でもなかなか大家に電話する気にはなれない。
なんでだろう。
時間が過ぎれば過ぎるほど、大切なことは面倒臭いことに変わってく。
でも、大家には電話出来ない。
理由は。
理由は、なんか寂しいからか。
なんか寂しい。
ここは家賃が安く、余った金を自分の好きなことに使えるという利点がある。
でもそれだけが理由じゃない。
なんか、寂しいんで。
帰国した僕はちゃんとした普通の家を借り、今より不自由なく東京に住んでいる。
それがなんか寂しい。
居心地良いのは居心地悪い。
だから今朝、僕は特別に寝ぼけている隙を見計らって大家に電話した。

「ろ、6月いっぱいで、解約します!」

それから大家との別れを惜しみ、珍しく互いの身の上話をした。
「中村君、頑張んだよ!」
何故か最後には熱く励まされた。
ありがとう。
そして無事、解約の運びとなった。
すると寂しさは更に増す。
ここに住むのもあと2月弱か。
この家の全てが愛しくなってくる。
でも、僕は次に行くんだ。
よし、荷物でもまとめよう。

***********

が。
が、しかしすぐに僕のメール音が鳴った。
宛先は大家だった。
アドレス交換したからって、何も律儀に送ってくる事なんかないのに。
ありがとう。
大家への情が、そのままこの家の情に変わる。
もう泣きそうである。
で、メールの内容は。
「中村君、大家さんです。少し考えたんだけど、中村君が旅に出ている間の半年間さ、家賃1万円ってどう?」


・・・・どう?って。
あなた、どう?って。
俺、もう決めちゃったし。
そりゃ実家に荷物を預けたり、帰国してから新居を見つけたり、また敷金礼金払ったりする面倒は消えるけどさ、どう?って。


ってことで浅見荘での思い出はまだ続く。

でも居ると決めたら不思議なもんで、
この家はなんて安っちいんだと思い出す。
帰国したらまずはここから出て行く準備をしよう。

2008/04/13(日) 『愛の起源』
その昔
地球がまだ平らで
雲は炎でできていて
山は空へと伸びていた
もっと高くへと
転がる樽のように
地を這ってた人々には
腕が2組
足も2組
大きな頭に顔が2つあって
周囲をぐるっと見渡せた
読みながら
話もできたけど
愛のことなんか
なにも知らなかった
それはまだ
愛が生まれる前のこと
愛の起源
人には3つ性があった
男と男が背中合わせ
その名は‘太陽の子’
それと似た形の
‘地球の子’は
女と女が背中合わせ
そして‘月の子’は
フォーク・スプーン
太陽と地球
娘と息子の中間 愛の起源
そして神はひとの力と挑戦をかなり恐れるようになっていった
雷神トールはこう言った
‘巨人たちを殺したようにわたしのハンマーで皆殺しにしよう’
そこへゼウスが割って入った
‘いや、私の稲妻をハサミ代わりに使った方がいいだろう、
鯨の足も切ったし、
恐竜も蜥蜴に変えてやったのさ’
彼は稲妻をガシッと掴み
笑い声をあげた
‘真ん中から切り離してやる真っ二つにな’
そして頭上にはみるみる雨雲が集まり大きな火の玉になった
火の玉から地上に稲妻が放たれた
輝くナイフの刃のように
そして太陽と月と地球の子の体をぐっさり引き裂いていった
それからインドの神が傷口を丸く縫い合わせおなかの辺りで糸を結んだ
私たちが払った代償を忘れないように
幽界の王オシリスとナイルの神々が巨大な雨雲を集めハリケーンを吹き荒らせた
人々をバラバラに散らすために激しい雨風に海は荒れて人は流された
もし教えを破れば再び切り裂かれ一本脚で地面を跳びはねひとつ目で見るハメに
君を最後に見たのは
二つに切り離された時
君は私を見てた
私は君を見てた
見慣れた君の仕草だけど
私は気付かなかった
顔には血がついていたし
私の目にも血が滲んでいたから
でも誓って言える
君が感じた痛みは
私の痛みと同じだと
心の底まで貫くその痛み
それが‘愛’
だから二人は堅く抱き合い元に戻ろうとした
それが‘セックス’
メイク・ラブ
昔々の冷たく暗い夜のこと
天の支配者によって
人は寂しい二本脚の生き物に
それは悲しい物語
愛の起源の物語
愛の起源
こうして愛は生まれたよ













***********

すごい歌詞だな。
うん。
「origin of love」
この曲も持っていこう。

4月絵日記の続き


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