マガッタ玉日記
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2008/01/14(月) 『27CHINA #3』
『#3 衣・食・住、町についたらまずは住』
(蘇州)


西へ。
上海から長距離バスに揺られること2時間半、
『蘇州』という町にやってきた。

中国は広い。
国土は日本の約26倍、人口にして約10倍、13億人。
しかし地図上で見ると遠いと思っていたこの町も
意外なほど近かった。

ここ蘇州は水の都と呼ばれているそうだ。
西には「太湖」が、北には「長江」が流れている。
その美しさからここは「東洋のベニス」と称賛されている。

僕はベニスを知らない。
TVのイメージ程度ならあるけれど、僕はベニスを知らない。
そしてもし僕の中のベニスが間違っていないなら、間違っていると思う。
ここはベニスなんかじゃないと思う。
蘇州、
なんていうか、まあ普通の町なんである。

初めてこの町に着いた時、僕はそんな印象だった。

***********

蘇州に着いたのはもう陽が暮れる頃だった。
バックパックを背負いなおすと、
やけに派手なパッケージの中国産煙草に火を点ける。
味は、悪くない。

「宿だ、宿」

慣れない国、薄暗い中、初めての宿探し。
良い条件とはいえなかった。
それより何より寒かった。
僕は東京の冬をイメージしてやってきたが、
東北の冬だった。
あらわになった手と顔が「寒いというより痛い!」と嘆いている。
しかしそんなこと嘆いててもしゃあんべい。

「ハンゴウ?ハンゴル?」
「ノー、ジャパニーズ」
「?」
「あ、そうか。・・・アァ・・・俺・・・ウォ・・リーベンレン?」

この国では韓国人に間違われることが多かった。
その度に「リーベンレン(日本人)」という言葉を思い出す。

僕は擦り寄ってくる宿のキャッチとひとまず交渉を始めた。
南アジア、東南アジアに比べて彼らは少し横柄な気がする。
強引さはどこの国のキャッチでもあったが、中国のキャッチは少し横柄な気がする。
アジアが「旦那ぁ、うちに泊まりに来ちゃいなよー」と人懐こく攻めてくるのに対し、
中国は「宿探してんだろ?泊まりに来てもいいよ」と少し上から攻めてくるといった感じか。
僕はスケッチブックを取り出し、
「便宜 宿 招待所 中心部 熱湯 空調 日本人」
などと適当に書き記した。

毎度毎度のことではあるが、宿は中々見つからなかった。

ここ蘇州南バスターミナルに宿のキャッチはわんさかいるのだが、
ようやくの交渉後、着いていってみたら言い値と違ったり、全く中心部じゃなかったり、いつの間にかいなくなっていたり、当たり前に事はうまく運ばない。
「もういい!」
自分の足で宿を探してみればみるで、たまにはおっと思うが、
しかしそこは大抵「外人さんお断り」だった。
大抵の安宿は「日本人ダメよ」なんだそうだ。

中国の宿には色々な名前があった。
日本での○○ホテルや○○旅館に当たるそれは
「賓館、酒店、大酒店、飯店、大飯店、招待所、旅者、住宿、大廈」、
とにかくいっぱいある。
これらは全部宿の意味で酒屋や飯屋じゃないそうだ。

「もういい!」
何度か繰り返すうちに、僕は息が切れてきた。
ジーパンの下に履いた股引きが汗ばんでいる。
宿探しのおかげで寒さは気にならなくなっていた。
でも、寒くてもいいからもう休みたい。
バックパックが重く肩に食い込んできた頃、
この町での宿が決まった。

それは大学寮にもなっている宿、「東呉飯店」。
一人一泊50元ナリ。
(1元=約16円)

鍵を受け取り、ベッドにバックパックを放り投げる。

「あああ!重かったー寒かったーきつかったー!」

快報、解放、開放。
部屋は簡素ではあるが、広い。
エアコンもちゃんとついている。
それよりなにより驚いたのは掛け布団がついていることだった。
僕は基本的に暑い国にしか旅行に行ったことがないので、
どこも「安宿」は掛け布団がないものだと思っていた。
つまり、今思えば無謀な話だが僕は毎晩凍えて朝を迎えるつもりだったのだ。
あと中国宿の特徴としてはどの宿にも必ず湯沸かし器と茶セットがついていた。
さすがお茶の国。

に、しても。
宿探しついでにこの町をチョロチョロと歩き回ってみて、思ったことがある。
蘇州、
この町のどこが東洋のベニスなんだろう。
欠片も見つからなかったが。
それともこの町のどっかにベニスが隠れてるんだろうか。
まあ今日はもういい。
無事に宿が見つかって良かった。




次の日、僕は獅子のように感嘆の声をあげることになる。


2007年12月30日 蘇州、我着也


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