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2008/01/11(金)
『27CHINA #0』
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『#0 いつだってあっけなく幕は上がってる』 (東京−大阪)
誰だって静かな空間で鳴るバイブ音ってのは気になるだろう。
それは皆が寝静まったバスの中だと尚更で、 3コール以上すると人々は固く閉じた目を開きだす。 身動き一つせず、目だけが開く。 静かだった空気がほんの小さな動きで流れ出す。 やがて後ろの方で聞こえる溜め息、寝息、時折吐息。 次のコールからは皆、音の所在を探し出す。
僕は今、東京新宿から夜行バスに揺られ大阪梅田へと移動している。 バックパックを放り込み、 バスに乗り込むと疲れがドッとやってきた。 昨日までの舞台がフラッシュバックを繰り返す。 ああ、こんな演出も面白かっただろうな、 ああ、こんな台詞も足したかった、 全てが終わると不思議なほどに視野は広がる。 この余裕を常に持ち続けられれば、もう一段階上へ飛べるのに。 まあいい。 ひとまず眠ろう。 明日に備えて少しでも疲れを取ろう。 発車して10分もすると、バスの電気は全て消された。 ありがたい。 一刻も早く眠りたい。
やがて僕は心地よく深い眠りに入った。
「・・・・こんな時間に誰だよ」
しかし小さく唸るその音に目を覚ました。 寝惚けたままで、僕も発信源を耳で探す。
あ。
・・・・俺だ。
それは胸に抱いた厚いコートの中で響いていた。 どおりで小さく聞こえるはずだ。 被っていたニット帽を剥ぎ取ると僕は液晶明かりが漏れないよう急いで携帯を突っ込んだ。 それから隠れるようにメールを開く。
友達からのメールだった。
『誕生日おめでとう!最高の27歳を送りやがれ!』
あ。 そうだ。 今、僕は27歳になったんだ。
当たり前に実感なんてありゃしない。
80歳の僕、 ひとまず27歳の僕の始まりは中国に向かうことだったよ。 それが始まり。
27China
始めます。
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