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2007/09/07(金)
『LOVE Letter-Dear Marlboroes』
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『…ぉぉ、なんてこった!』
…驚いた。 これは驚いた。 バイクって、 …バイクってこんなに真っ直ぐ進むものなんだ!
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『今日からお前はマルだ』
__1997年高校時代、「初代マールボロ号」命名。
コトンッとマルボロが自販機から落ちてくると、ステッカーがついてきた。 僕はそれを彼女のフロントに丁寧に貼り付けた。 それからそいつを「マルボロ」と呼ぶことにした。 それから2年と少し、僕はずっと彼女と一緒だった。 そして上京直前に彼女は止まった。 まるで意思があるみたいに。
__1999年上京、「二代目マールボロ号」襲名。
僕は東京に来ると、すぐに新しい彼女を見つけた。 前の彼女より、少し細身で洗練された都会の子。 彼女とはいろんなところへ旅行へ行った。 仙台の両親にも挨拶をさせた。
『よし、お前は今日から二代目マールボロ号、略してマルだ』
僕は彼女も「マル」と名付けた。 黒かったボディも、初代を思い出すように真っ白に塗装した。 素人技じゃうまくいくはずもないけど、それでもすぐに愛着は沸いてきた。
僕は愛情余って、至る所に突っ込んだ。 壁、ポール、電柱、車。 その度に彼女の身体には傷が増えていく。 その度に僕はガムテープを絆創膏代わりに張っていく。 赤、青、黒。 彼女に傷が増えれば増えるほど、僕の愛情は増していく。
フロントは割れ、 シャフトは曲がり、 テールランプは切れ、 エンジンカバーは風に飛ばされ、 しまいにはブレーキが効かなくなった。 それでも彼女はめげることなく走り続けた。 今思えば二代目の彼女はドMだったかも知れない。 絆創膏は年々増えていく。 その間、9年と少し。 その間、免停が4回。 それでも彼女はむつけることなく、僕と免許が帰ってくるのを待っていた。
しかし、ある日から彼女の調子は変わった。 そしてある日、彼女は止まった。 長すぎる付き合いは別れが寂しい。 ここまで長く付き合えば、エンジン音や車体の揺れ、アクセルの調子で彼女の一日の機嫌が分かる。 最後の方は細心の注意で彼女に乗っていた。 ブレーキがきかないから。 でも気付いた時にはもう遅かった。 二代目、永眠。
__2007年、「三代目マールボロ号」襲名。
そして本日、僕は新しい彼女を見つけた。 二代目よりも洗練された彼女。 僕は舞い上がっている。 まさかこんな僕がメットインのある人と付き合えるなんて。 いまどきギャルとは程遠いが、僕にはなんとも勿体ない彼女で。
『よし、今日からお前は三代目マールボロ号、略してマルだ』
僕はまた「マル」と名付けた。
三代目よ、今日から僕は雨の日も風の日も、毎日君に愛を注ごう。 いずれ君は僕の愛なくして走れなくなるだろう。 そして、いずれ君の愛なくして僕は走れなくなる。
長く付き合うために、もう僕は君を傷つけない。
あと、もう免停にはならない。 もう、免停にはならない。
Thank you for Marlboro the 2nd. Welcome to Marlboro the 3rd. From takashi nakamura.
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