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2007/08/01(水)
『大きな話と小さな話』
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あくせくしている間に、梅雨は明け、暦は8月になっていた。 そんな中、舞台『路上』も無事千秋楽を迎えた。
《小さな話》 気分転換に伸びきった髪をカットしてもらった。 夏になるといつも自分でバリカンをあてて丸坊主にしてきたが、今年は床屋に頼むことにした。 次の舞台が近くにあるので、今年は坊主に出来ない。
僕は980円でカットしてくれるリーズナブルな床屋へ入った。 ここを選んだのは値段だけが理由ではない。 美容院というのがどうも苦手なのだ。 あの話しかけられたときの気まずい空気ったらありゃしない。 しかも話を振っておいて、ろくな返しもない。 固定され逃げ出すこともできない。 だから僕は美容院が苦手だ。
この床屋は無愛想な店員が無愛想にカットしていくところだった。 そうそうそれでいいんだよ。
『どれくらい切りますか?』 『結構短めにしてもらっていいですか?』 『…はあ』
でもこの店員はどこか偉そうだった。 なめられてる。 980円だからまあいいか。 なんて大人な対応、僕にはできない。 だから些細な抵抗を始めた。
『下向いて』
僕はほんのちょっとだけ下を向く。
『もうちょっと下向いて』
僕はもうほんのちょっとだけ下を向く。 変な客なんかに時間を掛けたくない彼女はむりやり下を向かせる。
『………』
自分で望んだことなのになんだか沈黙が息苦しい。 そして小さな反抗を重ねた結果、出来あがったのはなんとも変な髪形。
『ここ、なんとかなりませんかね?』 『あとはスタイリング剤でやって下さいね』
《大きな話》 8月といえば。 カンフル剤が帰ってくる。 世界中を旅して歩くカンフル剤。 東南アジア、南アジア、東アジア、北アフリカ、中東、はたまた南米。 気がつけばいつも一人、地球のどこかを歩いてる、世界中でいろんな遊びをする人。 そんな彼女が近々4ヶ月ぶりに日本に帰ってくる。 どんなんなってんだろう。 どんな土産話があるんだろう。
ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、チリ、ブラジル、ペルー、ガラパゴス。 僕らにゃ架空の国。 だから僕は夢想する。
『私は生きてる間にできるだけたくさんのスゴイモノを見たいと思ってる。だから旅をするぞー!』
そんな彼女が帰ってくる。 どんなんになってんだろう。 僕? 僕は変な髪型になっている。
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