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2007/05/16(水)
『 蝉と私 』
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夜の散歩中、ふと私の足を止めるものがあった。 それは蝉の鳴き声。 沖縄が梅雨入りした今日、東京では蝉が鳴いていた。
気の早い蝉だ。 耳を傾けてみると、近くに一匹、遠くにも一匹。 明日の雨の前兆か、今夜はやけに湿っぽい。 それは夏の質感と似ている。 だとしたら間違えて出てきてしまったのだろうか。 しかし今夜は熱帯夜と呼ぶにはほど遠い。
二匹の蝉はいまだジジジジジと姿なく、寂しげにその声を響かせている。 「蝉の一生」は短いというのに、こんな時期に生まれてきてしまって。 散歩の足を休めて、私はしばらくぼーっと夢想していた。 蝉もどうせ短く生きるならば、炎天下の中鳴き叫びたかっただろうに。 私は見知らぬ二匹の蝉に同情する。
ところで私がもし昆虫なら何がいいだろう。 アリ…キリギリス…蚊…蝶…蟻地獄…コオロギ…蜻蛉…昔ビデオで観たアリゾナのふんころがしというのも悪くない。
ジジジジジ…
いや。案外、蝉というのも悪くない。
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