|
2008/10/08(水)
深紅いビロードの夜、僕は何に酔ったのだろう
|
|
|
10月も半ばだというのに、アスファルトとコンクリートに塗り固められた都会は暑い。 「ふぅ、暑い暑い。まるで熱いトタン屋根の猫よ」 と、テネシー・ウィリアムズを気取ってステージで手団扇を使ったのは、NYドールズのデヴィッド・ヨハンセン。
いつの世も洒落者は良い。最近は短パンにビーサン的なミュージシャンが増えて美しい者好きとしては面白くないが、この人たちの舞台には無縁のはなし。
カチニカの演奏会である。
安物のヴィジュアル系に堕する事も無く、かと言って重苦しくもなく、適度に湿度を含んだビロードの様に、淡々と人生を歌う湯澤幸一郎の美声とゆうもあセンスは、クラシックというよりシャンソンに近い表現とも言える。 そしてその歌声を彩るAyaのピアノ、Sachiのバイオリン、青月のセロ。みなまるで美神のよう。 「耽美」と言う言葉は、この人たちの為にあると錯覚してしまう一夜であった。
少し酒が過ぎた。
|
|
|