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2005/10/09(日)
05:喧嘩
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「代表」 「・・・・・・・」 「代表」 「・・・・・・・・・・・」
カガリからの無視攻撃を、いつかその笑顔が見れることを祈り健気に対応する。 けれど一向にカガリは机に向かったままで言葉を発するどころか口を開けることさえしない。 いつもはくるくる変わる表情も、黙り込んでいるせいで今はまるで人形のようだ。 右手で握り締めてるペンが規則的に動いてるのだけが、彼女の意地。 休憩をとろうか?と優しい言葉をかけようとした俺も、それを見て言葉を飲みこんだ。
喧嘩の始まりは数分前、甘えてくるカガリが外に出たいと言い出したことから始まった。 目の前には大量の書類。今日中に目を通さなくてはいけないものはないらしいが、 それでも貯めこむと辛いのはカガリなのだから、と、 外に出たいといった彼女の言葉を一蹴して「仕事に戻ってください」と強めに言って聞かせた。
以前、1度甘えてきたカガリの言う事を聞いて、後でカガリが山積みにされた書類に泣いた経験を思い出したからだ。 彼女を思っての厳しい言葉だったにも関わらず、暫く粘っていたおねだりも、約5度目。 何度可愛らしくお願いといわれても頑固に首を横に振った俺を見て、カガリはだんまり作戦に打って出た。
さすがにこれは俺も効いた。 バカ!とか、意地悪!とか・・・そんな言葉は笑って受け止めることができるのだが、 無視だけはいただけない。 可愛い彼女の声を聞けないのは寂しいだけだ。
だから寂しい思いをさせた君へお仕置きをしなくては。
「どこまで声を出さずにいれるか・・・試してみます?」
驚いた彼女の唇が小さく動いたが、それでもすぐに一文字に閉じられ、 先ほどの俺の台詞を聞かないふりをしている。 それならば、と、俺は彼女の背後に回りこんで後ろから抱きしめる。 椅子がぎぃっと鳴った。けれど気にせず、強く抱きしめる。
「どこまで・・・我慢できるんでしょうね・・・?」
紅くなった彼女の耳元で小さく笑いながらそう言えば、ぴくりと震えるその身体。 観念したのか彼女は口を開く。
「・・・・・・アレックス、離せ。命令だ」
俺の好きな可愛い声をやっと聞くことができた。 けれど・・・
「残念ながら・・・申し訳ありません」
離せと言われれば止められるほどの欲望じゃない。 君への想いは貪欲だ。
「もう・・・止まらないから・・・」
喧嘩はこうして、俺のおねだりで終わりを告げた。
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