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2005/10/14(金) 07:約束

カガリが出会ったシロ2世は、丸1日もしないうちに彼女の乳母に見つかった。
そしてその後は決まって、その乳母のお叱りを受け飼ってもらえるところを探す。
今日も優しい新たな飼い主が見つかった。






「シロ・・・・」

窓際に頭をこてんと預け、空ろな瞳で小さく呟く。
さっきからずっとこうだ。
それでも済ませなくてはならない仕事は全て片付けているのだから、
やはりこういうところには彼女の生真面目な部分と頑固な部分が表れているのだと思う。
仕事が片付けられているのなら、次に与えてあげるべき時間は優しい時だ。
本当はただ自分が与えたいと思うだけの照れるような考えにちょうどよい理由をつけて
俺は小さく咳払いし、彼女に歩み寄った。

「代表・・・」
「んー・・・」

本当は名前で呼びたいのだけれど、今の俺は護衛でしかない。
それでも、それを飛び超えて彼女に触れたいと思ってしまっているから、
もう護衛という大義を掲げてるだけの我慢もできないただの男かもしれない。
優しく声をかけてあげたにも関わらず、その甘えさせてあげたい相手はこちらを向いてくれる気配さえない。
それが寂しくて、意識して先ほど以上に甘い声をだした。

「・・・・・・・代表・・・」
「ん・・・・」

のろのろと顔だけ動かしてこちらを向く。
やっと見つめることのできた可愛らしいその顔は、俺がどれだけ甘い声をかけても
膨れているのか拗ねているのかわからないようなそんな表情で・・・

「白い犬・・・飼いましょうか・・・?」

考える間もなく口からそんな言葉が出てきた。

「え?」

素っ頓狂な返事をしたカガリ。
俺は微笑みかけて、言葉を続ける。

「真っ白な・・・子犬。でもいつか大きくなるような・・・」
「・・・・・!」

そう言うと、わかりやすい彼女の表情はみるみるうちに明るさを増した。
ぱぁっと・・・そう、花が咲いたような笑顔とはこういうのを言うのだろう。
白い犬という、たったそれだけの単語に、彼女の方こそ尻尾を振って喜んでそうな、
それほどの喜び。

ただの男の俺は、その喜び方が嬉しくなるとともに、何だか少しだけ寂しいような気もした。
甘く声をかけても彼女を笑顔にすることはできなかったのに、一匹に負けたとなると寂しい気がしたのだ。

それがばれないように俺も微笑み返していたのに、カガリは気付いたのだろうか?

「・・・・・・いいや」
「え?」
「犬は飼わなくていいや」

あれほど喜んでいたのに、このほんのわずか1分にも満たない時間で、彼女の心境に何か大きな変化でもあったのだろうか。
俺が首を傾げていたら、カガリはそれを見て笑った。

「だって、アレックスを1番可愛がってあげなきゃ、だろ?」
「・・・っ!!」

にやり、と、してやったりと言う顔をしてカガリが言った。
きっと俺の顔は赤い。体温が上昇したのがわかる。
そんな俺に向かって、飼主となるべきお方は手を差し出す。

「おいで」

広げられたその手に、尻尾を振って飛び込んでいく。
抱きしめられるのはアレックス。抱きしめるのは、アスラン。
今は大人しく、甘えて抱きしめられよう。
俺の頭を彼女の柔らかな手と腕と胸が包み込む。

「甘えんぼだな」

君にだけね。

俺は本気とは言えあんな冗談めかした言葉をちゃんと覚えていてくれた。
それが嬉しくてたまらない俺は、調子にのって本気の約束事をもう1つ。

「・・・2世も産んでほしい・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・っ!ば、ば、バカッッッ!!!」


そのあまりの可愛さにこの後3秒後、抱きしめられていた俺は形勢を逆転させて、
アスランへと変貌したのは言うまでもない。


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