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2006/11/06(月)
27頼風塚と女郎花塚
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八幡市民図書館に近い和菓子店の裏にある小さな五輪石塔を「頼風塚」「男塚」という。この石塔に対して松花堂庭園の西隅にある小さな五輪石塔を「女郎花塚」「女塚」といい、平安初期の叶わぬ恋の物語を今に伝えている。男塚の主は、八幡に住まいしていた小野頼風という人で、806年から808年ごろ、京に深い契りを結んでいた女性がいたが、いつしか二人の間に秋風が吹いていた。京の女は思いあまって八幡へと男を訪ねてくると、男が他の女と暮らしていることを知り、悲嘆のあまり泪川に身を投げて死んでしまった。やがて、彼女が脱ぎ捨てた山吹重ねの衣が朽ちて、そこから女郎花が咲いた。頼風がこの花の元に寄ると、花は恨んだ風情をたたえながら頼風を嫌うようになびくので、頼風は「こんなにも私を恨んで死んだのか」と自責の念にかられ、放生川に身を投げた。人々はこれを哀れみ、二人の塚を築いたという。頼風塚の周りに生い茂っている葦は「片葉の葦」と呼ばれ、女郎花塚の方にしか葉がついておらず、その葉が女郎花塚に向かい今も「恋しい、恋しい」となびいているのだという。
(ぶらり八幡浪漫街道を行く より引用)
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