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2018/05/07(月)
チンチンイタイタ小便事件
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裏戸を開けて右に曲がるとすぐ石造りの階段があった。右に下ると井戸があった。井戸を左に抜けると長屋があったが、この路地を抜けると少し大きな路地に出る。この路地を抜けて北へ向かうと岡山へと向かう大きな道に出ることが出来た。井戸から左にわが家を見ながら登ると小さな広場があった。ここには桐の木などの大きな樹木と神様を祭る小さな祠や瓦で拵えた神様が幾つか置かれていた。そのうちの一つがドウツウ様と言われていた蛇の神様であった。母からは常々「これらの神々に決していたづらはするな」と言われていた。わたしたちはこの広場ではチャンバラをしたり、西部劇ならぬ木で拵えたそれぞれが手作りした拳銃で打ち合いごっこをしていた。ある時、木登り試合をしようということになった。どんな方法でも構わないからとにかくてっぺん近くにあるカラスの巣から卵をとったものが勝ちだということになった。しかし、カラスの攻撃がきつくて誰も登り切れない。そこでわたしは釘倒しの勝負で得た五寸釘を家から持ってきて、金づちで木に五寸釘を打ち込み、竹剣を腰に登った。とにかく足掛かりになる枝に辿り着くまでが大変であった。カラスの攻撃は竹剣で撃退しながら、五寸釘で足場を固めながら登ったのだった。こうしてわたしはついにてっぺんへ登り詰め卵を手にした。だが、降りる途中でカラスの攻撃で卵を落としてしまった。しかし、わたしは遂に卵を取ったことは確かだった。が、しかし、木から降りると、みんなは卵を落として割ってしまったのだから「勝利者ではない」という。誰もがわたしの勝ちを認めないのだ。「五寸釘は卑怯ではないか」と言う者もいた。結局、わたしの勝ちを認めないまま「帰ろ!帰ろ!」とみんな帰ってしまった。なんとも面白くないわたしはドウツウ様におしっこをした。狙った訳ではないが、たまたまおしっこをしたところがドウツウ様の瓦の祠だったのだ。その日の夜、寝る前ごろからチンチンが腫れあがり、どうにもこうにも痛くて痛くて耐えられなくなった。母から「なぜ?」と理由を尋ねられて、「ドウツウ様におしっこがかかった」と告げた。その途端、母からピシャリとビンタを喰らい、「あれほどいたづらするなと言ったじゃろ」と厳しく叱られた。何だか知らないが薬を塗られたような気がするが詳細は覚えていない。数日後、腫れは引き、チンチンのイタイイタイは治ったもののほんとうにドウツウ様の祟りなのか、不潔な手で触った結果のバイキンの感染なのか原因はわからないがこの事件もいまだにわたしの中ではどちらが正しいのか結論を出し切れずにいる事件である。大方の方々の結論は「バイキン説」に軍配を挙げるのではないかと思いつつも。
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