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2018/12/24(月)
図書委員に選ばれた
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2年生になってすぐにクラスの委員長、副委員長、図書委員が選挙された時のことだった。わたしはわたしにはまるで縁のない行事だと思っていたので机に斜に構えて座っていた。ところが、「出来の悪い、本など読んだことのない田畑を図書委員にしてやろう」という意地悪い謀議が交わされていたようだ。予想外の事実にわたしは驚いた。親友の西田君が膨大な”徳川家康”を読んでいたことはみんな知っていた。クラスの仲間はそれぞれの好みの読書をしていたようだ。小説の類ではない哲学書やそれぞれが興味を持っている専門書なども呼んでいる奴もいた。中には英字本を読んでいる奴もいた。国語の時間などには本を真っすぐ両手で支え、直立不動で朗読する女子もいた。この女性と成人後の仕事関係でまた知り合うとはこの当時のわたしは思いもしなかった。この女性の真っすぐで柔らかさのない他を寄せ付けない姿勢はわたしにはなんとも辟易する風景であった。このような状況下でのわたしの同類は全校で3〜4人であった。ピアノが得意なA,サッカー部のB、医学部教授の息子のCなどであったが、みんなこのころタバコの味を覚えていた。わたしは彼らとつるんだことも、喧嘩したこともなかった。マイナス極とマイナス極の磁石が反発しあって近づくことはないように。だが、クラスの仲間たちはわたしと彼らをくっつけ、同一視していたようだ。こうしてわたしは青天の霹靂である図書委員になってしまったが、今更意義も唱えられない。内心不承不承ではあったが、引き受けた。引き受けたからには会議にも出なくてはならないな、と思っていたところ、最初の1年から3年までの図書委員の会合が開かれるという通知が届いた。この会義がまたわたしの高校生活を変える引き金になろうとは思いもよらずにわたしは出席した。
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