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2018/10/07(日)
お前らは女にもてたいか!?
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こうしてわたしは映画の魅力にとらわれていったのであるが、まだまだその先があるとはこの時には思いもよらなかったのである。中学2年生の1学期も終わり、成績表など見る気さえ起らなかった。わたしの毎日は相変わらず市場の仕入れ、学校、部活、時々映画や友人との遊びにと忙しく過ぎていった。そして、こちらも相変わらず、つまり学業成績は最下位辺りをうろうろしていたのは言うまでもない。2年生の担任は理科の安井先生であったが、安井先生もわたしの成績について一言も触れたことはなかった。夏休みのある日のことである。グランドに畳を敷いて柔道の部活の練習をしていたところへ卒業した先輩がふらりとやってきたのである。久しぶりのことでもあり、先輩の来校を祝して練習はしばし休みとなった。みなでわいわいあれこれと雑談をしていると、先輩が突然変なことを言い出した。「みんな女にもてたいか?」と尋ねるのである。もちろんみんな「もてたい」と思っている。女の子の羨望の的は成績の良い、野球部のA君ほか数名、陸上部のK君などであった。柔道部など鼻にもかけてもらえなかったのは当然であったので、みんなは声をそろえて「もちろんです」と答えた。先輩は「そうじゃろうのう。特に田畑!お前は小せえけえ余計にそう思うじゃろう。じゃがな、女にもてる学校があるんじゃ」「へ〜〜???」「そりゃあのう、操山高校と言うんじゃ。県立の普通科高校じゃが、田畑!お前には絶対入れん学校じゃけえ、残念じゃのう。田畑、お前は一生もてんのう」と言う。それからもうしばらく雑談をして先輩は帰っていった。
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