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2017/09/07(木)
魚の小骨(40)道徳でいじめは無くなるか
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3日続けて雨雲の来訪。うっとうしいお天気だ。道徳教育の教科格上げは1958年の道徳授業の導入以来議論され、狙われてきた。2007年には提言もあり、格上げ議論がなされた。しかし「道徳で子供に成績(優劣)をつけるのはいかがなものか」との声が大きく見送られることになった。2011年秋、大津市の中学生がいじめを苦に自殺した。これを受けて(利用して?)「やっぱり道徳教育が大切だ」との議論が再燃し、2013年2月、いじめ問題の対応策をまとめた政府の教育再生実行会議が「道徳の教科」化を提言した。これを受けた中央教育審議会は2014年10月「道徳を特別の教科とする」ことを答申した。そして、文部科学省は2017年3月「道徳」を教科外授業から教科に格上げした。以上が道徳授業の教科への格上げの概略である。まさにいじめを人質にとっての道徳授業の教科格上げである。この措置に対して学校現場はどう受け止めていたのか?と言うと、北海道大学、秋田教育大学が行った2015年の調査によると、賛成は小学校教諭が18.8%、中学校教諭は21.3%であり、反対は小学校78.9%、中学校75.9%であった。現場の教師の意見は「ほぼ反対」であった。ここには現場の意見を無視しても道徳を教科としたい政府の強い意志と願望が見えてくる。生徒指導の困難さを抱える中学校の方が小学校よりも若干反対意見が少なかったもののそれでも約76%という高さであった。中学校の生徒指導には特別の配慮が必要であろうと思われるが政府はこれに対してはまともな対応はしていない。にもかかわらず、現場の反対の意見の多さに対して政府は「教科書を読むだけで授業を形骸化させている教師が問題だ」と応じた。文科省は「戦後高度成長を経て日本は大きく変わった。少子高齢化。携帯・スマホは世界中にリンクできる。ネットでのいじめなど道徳の教科への格上げは必要」との理由付けを発表。マスコミはこの意見、説明を大々的に取り上げたという訳である。それでは道徳の授業を「特別の教科」にしたら、「教科格上げの理由としたいじめ」はほんとうに無くなるのであろうか?道徳の授業を教科へと格上げしなくても東北や熊本での災害時には若者たちがボランティア参加を自発的にしている。そうした姿をみんなが共有できるようにすればよいのではないだろうか。
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