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2017/09/02(土)
魚の小骨(35)液体燃料式エンジン
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北朝鮮は今年7月、アメリカ本土を射程に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)を試射し、同国の内陸部に届く性能を示した。このICBMのエンジンがウクライナで生産された旧ソ連製であったとの疑惑が浮上している。ウクライナとロシアはこれへの関与を否定した。そして両国はお互いに非難し合っている。問題はウクライナの国営企業で生産された旧ソ連の液体燃料式エンジンの改良型を北朝鮮が入手した可能性をミサイル専門家であるマイケル・エレマン氏(英国のシンクタンク、国際戦略研究所)が指摘したこと。近年、IRBM(中距離弾道ミサイル)の打上げにたびたび失敗した北朝鮮が何故ミサイル技術を飛躍的に向上させたか!?の疑問を彼が解明した。ICBMの開発には数十年の時間と膨大な資金が必要であり、設計の専門家は「液体燃料式エンジンは極めて複雑で設計図を手にしてもなお生産には10年かかる」と指摘する。現在このICBMを保有するのは米国、ロシア、中国、インド、イスラエルの5か国だけだという。旧ソ連の軍事技術の多くは1991年の国家崩壊後の混乱の中で中国など新興国に流出した。北朝鮮のICBMの開発に旧ソ連の技術が使われたとする見解はロシアとウクライナの軍事専門家も一致している。では、いつ?どのように?であるが、エレマン氏は「過去2年以内にウクライナからロシアを経由し鉄道で北朝鮮に持ち込まれた」との可能性を示唆する。しかし、ウクライナは2014年春の政変で政権がロシアから親欧米派に変わった。対ロ関係が急激に悪化し、取引先のロシアから受注が無くなり、国営企業の経営は行き詰り、給与の遅配も長期化した。それ故、技術も専門家も国外流出の可能性が大だと言い、現在の米ロ関係の悪化ととプーチン氏が「小国が米国から独立、安全、主権を守るには核兵器保有以外に方法がない」と北朝鮮を擁護していることから、プーチン氏がICBMの関連技術を北朝鮮に流出することをあえて黙認した、との疑惑が浮上している、という。そのプーチン氏の思惑は「北朝鮮で米国を手一杯にさせ、手薄になった中東でロシアの影響力を強化する」と指摘する。以上が今朝の新聞報道であるが、軍事技術の転用が世界を戦争の危険に巻き込んでゆく構図がここには透けて見える。3年前のパリの兵器見本市での「三菱が戻ってきた」との各国軍関係者及び兵器産業代表者たちの喜びの声は将来の世界の戦争危険度のアップに貢献する声ではないかとも思える。とすれば、武器輸出を可能にした安倍自公政権は将来の世界の戦争勃発を誘導する役割を担ったと言えるのではないだろうか。
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