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2016/12/13(火)
いつか極道身を離る
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鯛焼やいつか極道身を離る 五所平之助 五所平之助さんは映画監督の大御所である。「伊豆の踊子」や「マダムと女房」「今ひとたびの」などの代表作でその名はよく知られています。俳人としても久保田万太郎氏の指導を受け、俳歴は長いようです。 五所さんは縁日にでも出かけたのでしょうか。それとも街をぶらついていて鯛焼き屋が目についたのでしょうか。わたしは縁日に出かけてふと目についた鯛焼きを買ったのだと思います。見ただけで通り過ぎたのではないのです。尻尾まで餡のつまった熱くて甘い鯛焼きを口にしながら子供のころを思い出したのではないでしょうか。子供のころを思い出せば反転して自分の今の年が思われます。一瞬、わが生涯が走馬燈のように脳内を駆け巡ります。そんな風景の中の一つが若いころからの極道癖です。賭博、麻雀、パチンコ、喧嘩、酒、キャバレー通い等々の風景が思い出されて「ああ、俺も年を寄せたなあ。いつしか極道もしなくなったなあ」という思いを強くしたのではないでしょうか。 わたしも最近時に強く感じる思いなのでこの句に同感しています。 鯛焼や尻尾までの餡確かめて
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