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2016/11/27(日)
日露の領土問題について(25)
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まずロシアのプーチン氏はアメリカのトランプ氏に何を期待し、何を得ようとしているのか、である。トランプ氏はアメリカ第一主義を掲げながらロシアとの関係改善を主張してきた。反オバマ、反クリントンである。オバマ大統領はロシアのクリミア半島併合で欧州と共に経済制裁を課した。日本の安倍政権もこれに加わった。プーチン氏は2014年3月(クリミア併合宣言演説)、「NATO(北大西洋条約機構)を東欧へ拡大した米欧の行動を列挙し、米国の陰謀によりウクライナで西側は一線を越えた」と断じた。米欧と異なる価値観を掲げているプーチン氏にとってスラブ・正教文化発祥の地であるウクライナの行方は死活問題である。彼はウクライナが欧州統合に向かうとプーチン氏の強権体制に対する国内反対運動が再燃するとの恐れを抱いている。オバマ氏はプーチン氏の強権体制による人権無視を敵視した。ところが、NATO主導を導いてきた米国で白人至上主義、米国第一主義のトランプ氏が大統領に就任することになった。トランプ氏は自身の経済活動で巨万の富を築いてきた経済人であるから既存の理念や価値観に囚われることなく、また人権問題を口にしないであろうし、米国の利益になれば「取引ができる」と期待していると思われる。こうした状況下で諜報機関員出身のプーチン氏は世界を相手とする世論操作をトロール部隊と言われる部隊を使ってプロパガンダを繰り返している。また、クレムリン(ロシア大統領府)に近い金融機関がフランスの反EUを掲げる極右指導者・ルペン氏の党に融資したことも明らかになった。国後、択捉、歯舞、色丹島など4島の帰属問題はこうしたプーチン氏の戦略上にあることを忘れてはならない。
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