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2016/11/11(金)
日露の領土問題について(11)
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余談ながら最近ロシアに於いてスパイ・ゾルゲが再評価されているので触れておきたい。ヨーロッパ戦線に於いてスターリン率いるソ連が勝利できたのはゾルゲの情報に基づくところが大きい。スターリンはゾルゲの情報により「日本が対米戦を決意し、ソ連領への進行がない」ことを確信し、極東配備の軍隊をモスクワに侵略するドイツ軍との戦闘に投入するとともに、アメリカ・トルーマンが要求する極東への米軍航空基地建設を拒否することができた。もし、この判断を誤っていれば、モスクワはドイツ軍の手に落ち、米軍は現ロシア領に米軍基地を置いていたかも知れないのであった。日本に現在も多くの米軍基地が置かれているように。ゾルゲは日米開戦直前の1941年4月からドイツのフランクフルタ―・ツアイトゥング紙の記者として東京に在住していた。ゾルゲの諜報団には朝日新聞社記者の尾崎秀美やマックス・クラウゼンらがいた。彼らの大半は日本軍がハワイを奇襲攻撃する3、4か月前に逮捕されている。何故参謀本部は「情報が洩れているであろう。作戦の変更を」と考えなかったのであろうか。日本軍上層部の頭の硬直性が伺える一例であろう。又、軍事情報のスパイは陸軍憲兵隊の管轄であるが、コミンテルンのスパイとして特別高等警察(特高)が取り扱っている。彼らは警視庁特高第一課及び外事課にスパイ容疑で検挙されている。この辺りにもタテ社会の縄張り意識の弊害が見え隠れしているのではないかと思える。情報の共有がどの程度であったのか?大組織の運営の参考になるとも思える。
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