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2016/01/10(日)
フェニキア文字には母音がなかった
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アルファベットの生みの親、フェニキア文字には子音のみで母音の文字がなかったといいます。ヘブライ語やアラビア語などのセム語系の言語は子音が多く、母音が少なかったようです。言葉として母音の無いことは考えられません。読むものにとっては不便だったに違いありません。紀元前8世紀ごろのアラム地方(現在紛争地となっているシリア)にフェニキア文字とよく似たアルファベットが出現しています。旧約聖書などの写本・「死海文書」はこのアラムの文字で書かれていました。アラム文字を母体として古代ヘブライ文字が生まれ、旧約聖書のほとんどはこの文字で書かれていました。どちらも同じく右から左へと母音表記なしに書かれていました。アラビア文字もヘブライ文字と同じようにフェニキア文字から生まれました。コーラン(イスラムの預言者ムハンマドに下された神の啓示)はアラビア文字で650年ごろに書かれています。キリスト教徒は文字あるいは文書とは「聖書」を指し、「コーラン」もまた神の文字であったのです。読めなくても崇められた書物であり、文字でした。このような状況の中で、ギリシャ人が母音を考え出し、母音を表記したのでした。母音の多い音声言語であったギリシャ人にとってはよほど使いにくい文字であったに違いありません。
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