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2013/03/21(木)
白川や晴るる川面に霧いでし
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京都の北部鴨川から東山を望み、古(いにしえ)の白川殿や六勝寺を想いながら河畔を朝早く歩いたことがあった。随分前のことだが鮮明に記憶している。君はわかるだろうか。ふと思い出したのだ。記憶の中では朝霧が遠くの山をも見えなくしていく光景を観たのだ。日銀総裁であった白川方明氏が3月19日に5年間の任期を終え、退任した。後継者には黒田東彦氏が就任した。「日銀は無制限で金融緩和する」という黒田氏を民主党も「反対すれば参院選に不利」だと判断し、賛成した。白川氏の信条は「大惨事だけは避ける」であった。大惨事として彼が恐れたのは国家債務がGDP(国内総生産)の2倍を超えることであった。世界1の借金を抱える日本。その中の大部分は日本国内の銀行が抱えている。それ故に他国の投資家に左右される恐れは少ない。だが、ギリシャやスペインのようにならないとは言えない。国債価格の急落は経済の混乱を招き、銀行が大損失を抱え、大ごとになる。日銀が、銀行が抱えこんでいる国債を買いこんで金融緩和をおこなえば、この金融緩和は政府の赤字を穴埋めする財政ファイナンスととられかねない。そうなると市場の信任を失い、金利が上昇し、日本の財政再建はさらに遠のくことになる。また、金融緩和を解除し、日銀が国債を買う量を減らした時にはまた金利が上昇し、同様のリスクが発生する、というものだ。しかし、日銀法改正を自公・安倍政権が口にし始めた。政府が法律改正してでも日銀(中央銀行)の政策をコントロールするというのだ。そうなると、日銀が政府に隷属したことになり、日銀の独立性は無くなると同時に世界から財政ファイナンスと見られる。それなら仕方が ない、2%物価目標・金融緩和を彼は認めざるを得なくなったという経緯がある。白川の脳裏の霧が深霧にならなければよいのだが・・・!
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