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2012/05/24(木)
たぽたぽと樽に満ちたる酒は鳴る・・・
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たぽたぽと樽に満ちたる酒は鳴るさびしき心うちつれて鳴る 酒を愛してやまなかった若山牧水の酒の歌の一つである。多くの酒呑みの愛唱歌はなんといっても かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏の夕暮れ ではなかろうか。一合にしておくのだと考えて、自分に言い聞かせて飲みはじめたがいつしか二合飲んでしまったというのである。後は三合、四合とすすむであろうと予感させる。夏の夕暮れの暑さをしのぐ酒は今はビールが主流である。この歌が詠まれた明治45年の夏には日本酒が主流であったであろう。日本酒の味わいは格別のまったりさにあるとわたしは思う。じわりと効く。そして長く効く。焼酎やウイスキーなどのような蒸留酒と違い、次の日まで酔いが残る性質がある日本酒だが、そのまったりさがわたしは好きだ。特に冷酒はよく効くが夏は特に冷やがいい。そのうえ、仲間とワイワイ言いながら飲まない一人酒は体を壊す。それとアテも食べ、酒ばかりを飲まないことである。この点は誰しも留意しておかねばなるまい。なにを好むかは人それぞれだが、彼の酒の歌をあと2首ご紹介しておこう。ご感想もそれぞれのご自由に。 数知れぬ女の肌に溺れたるこのわかき友は酒を好まず この樽の終(つい)のしづく落ちむ時この部屋いかにさびしかるべき
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