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2011/07/21(木)
ありぬべし寺には白きさるすべり
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人気のないお寺の昼さがり。さるすべりの白い花など咲いていればいいと自分勝手に思う。寺に行くと、斎藤茂吉氏の「長崎の昼しづかなる唐寺の思ひいづれば白きさるすべりの花」という1首が思い偲ばれるからであるが、わたしの故郷のお寺は大きな古刹で庭瀬の領主であった戸川氏の菩提寺でもある。わたしはお祭りのときの賑やかさよりも平常の森閑としたたたずまいが好きで、学校帰りに本堂の軒下でよく昼寝をさせていただいたものだった。暑い夏の昼間、吹き抜ける風のなんと涼しかったことか。樹木をわたる風の感じにザワワ、ザワワという表現のうまさに感動・共感したことは言うまでもない。こんなぜいたくな静けさを もう一度味わえる暮らしがほしいと思うのはわたし一人だけだろうか。わたしたちは時間、空間、自然や人との関係の貧しさに慣らされてしまっているのではないだろうか。
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