無駄日記
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2005/05/24(火) ロストナンバー 序章
「いいか。この研究所にはこのようなディクロニウスは存在しなかった・・・いいな。このことは忘れるんだ・・・」
 「関係書類はすべて燃やせ・・・データは完全に抹消しろ・・なにひとつこいつの形跡を残すんじゃないぞ・・・」
 「こんな恐ろしい思いは・・もうごめんだ・・・」
それは数刻前、一人の少女によっておこされた惨劇であった・・・
 
・・・・・・・・
長らく拘束していたひとりのディクロニウスがいた・・ベクターの覚醒もいまだなく、所員は彼女のベクターを覚醒するべくありとあらゆる苦痛を与えた・・痛み、怒り、そして絶望こそがベクターを覚醒させる鍵である。
 彼女の褐色の肌には無数の傷、ディクロニウスの回復力がなければとうに死に至る、あるいは発狂することであろう・・

 近年、ディクロニウスの爆発的増加により、この研究所の収容もパンク寸前であった。ゆえに危険度の低いディクロニウスは必然的に粗雑な留置施設に拘束されていた。
 ベクターを覚醒していないこの少女は特に危険性を重視されず、鉄格子の窓のついた一番外側の檻にいれられていた・・・・

 食事はパンとわずかばかりのスープのみ、少女はパンを半分食べると、鉄格子の窓に歩み寄る・・
「おいで。カア助・・・」
ばさばさばさ・・一羽のカラスが格子窓の外から舞い降りる。
「はい。半分こだよ。」そういって少女はカラスにパンをわけあた。
 「おいしいな・・これだけしかないけど・・・」
涙を流しながら明るく笑いかける少女・・
 こんな生活がいつまで続くんだろう・・私は・・・なぜ生まれてきたんだろう・・そう考えつつ、少女は眠りにつく。体中の傷の痛み、心の痛みにたえつつ・・・・・
 
・・・・・生き残れ・・・・・心の奥で誰かがささやいた・・そんな気がした・・・

 つづく 


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