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2011/10/06(木) 熊が車で来るまで
出るんですよ、札幌。
熊っつっても色々いますが北海道に生息しているのは羆(ヒグマ)です。

私の敬愛する吉村昭先生がお書きになった「羆嵐(くまあらし)」という作品がありますが、これは日本史上最大最悪の獣害事件として有名な「三毛別(さんけべつ)羆事件」を元にしたもので、他の熊と羆がどう違うのかを我々に教えてくれています。
羆は学習能力が非常に高く、俊敏で狂暴かつ狡猾で獲物の背後に音もなく近寄り、一度自分の獲物にしたものに対して異常なまでの執着を見せ、万が一遭遇してしまったらなんていうかこうほんと無理ゲー


北海道、一度も訪れた事の無い方も沢山いらっしゃるかと思います。
または修学旅行で札幌小樽とか函館とかね、観光地なら行ったよって方ならいるかも知れません。
北海道は皆さんが思っているより「原生林」です。「原生林原生林」しています。まだまだ自然の方が強い。
日本三大がっかりスポットの1つである札幌市時計台は確かにビルの谷間にありますが、札幌の西と南は山々に囲まれてますし北は海で東は畑です。札幌ですらそうなのに、都心から30〜40キロも内陸へと離れたらもう何にもありません。良く言えば「何にもない」がある。針葉樹林が鬱蒼と繁っている森か、360℃見渡す限り地平線の平野という感じです。
しかしこれは、あくまでも人間目線の話です。


その昔、北海道には沢山の神様がいました。

Kimun Kamui(熊の神)
Horkeu Kamui(狼の神)
Kamuichikap Kamui(梟の神)
Yukkor Kamui(鹿の神)
Chironnup Kamui(狐の神)

人々は「自然(神様の領域)に住まわせて貰ってる」という考えでした。例えば、kunnekamui(夜の神)は梟を指しますし、Nupurikokamui(山の神)は熊を指します。夜は梟のものであり、山は熊のものだったのです。

戊辰戦争で旧幕府軍が箱館にて降伏したのが1869年、その後、新政府が蝦夷地の呼称を「北海道」と定め、政務を行うのに箱館だと西南過ぎるという理由から、より中央に近い平野部に都市を築く構想を立て、その場所の名称を「札幌」としました。
すぐに日本の色んな藩が入植して来ますが、最初に大勢やって来たのは佐賀藩(維新後に明治政府の指導権を握ったのは薩摩・長州・土佐・肥前と佐賀。政府の要職は薩長2藩で独占した為、他藩は開拓等に従事)でした。日本の北と南なのに北海道弁と九州の方言に近い表現があったりするのは、こんな理由があったからなんですね。

なんだかつい最近みたいな気がします。つい最近まで熊や梟や狼や狐や鹿、様々な神様と人間がお互いの領域を侵さず暮らしていた場所に、村や町が作られていったのです。北海道は原生林つまり「だいたいにして山」でしたから、山の神である熊の持ち物であった所をガンガン切り開いて行った結果、神様は奥へ奥へと追いやられてしまいます。
世界遺産の知床では羆見学ツアーなんかもあったりするんですが、知床(シレトコ)とはアイヌ語で「地の果て」という意味です。神様とうとう地の果てまで追いやられてしまいました。地の果てまで辿り着く事が叶わなかった神様達は、村や町が作られた片隅の、生命を育める場所がまだ微かに残る森の奥へと逃れます。
人間目線ではまだまだ自然が豊富でも、神様目線ではどうでしょう。天と地と風の吹く所と水の流れる所、あっちからこっちまで全て其処にあったのに、いつの間にか消えてなくなってしまったのです。人間の手で勝手に引かれた境界線が、今もじわじわと狭まっているのです。

共生って何なんすかね?
理想論すかね?
私は特別に動物愛護派というわけではありません。むしろ、その地域に住んでもいないくせに「動物達が可哀想!射殺なんて酷い!」と外からやいやい言う係の人達は好きではなくて、だったらてめぇが七代先まで金出して保護して餌撒けやコラとも思うんですが、神様の領域に住まわせて貰っていた昔と違って、人間が安全に住む為の環境を作るのが最優先の現代では、野生動物との真の共生は最早不可能だと思います。

冒頭で述べた「三毛別羆事件」は、冬眠しなかった羆が食料を求めて里に降りて来たのが原因でした。最近札幌で頻繁に目撃されている羆も、食料を求めて下へ降りて来たら其処は住宅地でしたという話。
ただ、羆は人間の子供も頭から食べますから、やはり見つけ次第保護するか無理なら射殺するしかないよなぁ……羆やべぇしな……



【余談】
ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎が弾いている情熱大陸のテーマ「エトピリカ」は、アイヌ語でeto(くちばし)pirka(美しい)、つまり「鳥」を指します。
神々の棲まう山野や岬を遥かに見下ろし、青く澄んだ雄大な空を、一羽の鳥がゆったりと風に乗って飛んでいく様が目に浮かびます。


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