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2009/08/21(金)
「死顔」
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私が「好きな作家は誰ですか」と訊かれると必ず挙げている吉村昭先生ですが、亡くなられて三年が経った今、遺作となった新作「死顔」が出ました。
巻末にある奥様の寄稿を読んで、病院で最期の瞬間を迎えた吉村先生とその時の奥様の取られた行動に、それまで巻末に向かって読み進めていた本編にある文章が「いよいよ死を前にした際の絶対の決意」であり「遺言」でもあったと気付き、涙しました。 泣いたのは悲しいからじゃない、可哀想だからでもない、作家の業というか性というか、恐ろしさみたいなものを感じて、泣けたのだ。
奥様はそれを「自殺」と呼んだ。確かにそうかも知れないと思った。 ただしこの自殺は、私が忌み嫌う自殺の本壊である「この世界からの逃避」「安易で愚かな選択」などでは断じてないのだ。私も認めざるを得ない自殺だからこそ、恐ろしい。
どれだけの人が、「自分はこう死にたい」と決めた通りに死ねるだろうか。 死ぬ時はこうだなと理想を並べる日常にはいつか終わりがやってくる、その、やり直しもきかない、時間もない、唯一の一瞬の機会に、恐れず躊躇わず思うがままに「最期を生きる」事が、万人に出来るとは到底思えない……だから、吉村先生は凄い、凄くて怖い。畏怖の怖さ。
吉村作品のお薦めは「星への旅」、珠玉の短編集です。mixiでレビュー詳細書いてますので、興味を持たれた方はそちらも是非。 私は太宰も芥川も荒木飛呂彦も大好きですが、一冊だけ棺桶に入れて死出の旅に赴くのなら吉村昭の「星への旅」、これにします。
あ、ごめん、宮沢賢治「銀河鐵道の夜」も持ってくwwwwwwwつかやっぱジョジョ4部と5部と6部も持ってくわwwwwwwwwwwwwwいい焚き付けになっぞwwwwwwww
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