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2006/08/18(金)
web拍手ネタ、移植。
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【思春期未満オトコ盛り〜高等部編〜】
「…イオン!もう帰るの?」 「ラドゥ…うん、汝はまだ部活じゃろ?」 「待っててはくれないの?」 「…っ!ヒトが見ておる!解ったから肩など抱くな!」 「ハイハイ、じゃあ教室にいて」
余は渋々来た道を戻り、誰もいない教室の窓からグラウンドを見下ろす。 ラドゥの所属するサッカー部は試合が近い為、遅くまで練習する事が多い。 高2の夏、もうすぐ夕陽が沈む頃。 ラドゥの青い髪が、風に舞い上がる。夕焼けに染まるユニフォームの背中を、誰にも邪魔されず目で追う。 「…カッコイイな」 フェンス脇には隣の女子高生達がギャラリーを作り、ラドゥがボールを蹴るその度に嬌声が上がる。 余の胸が音を立てる。
「やぁ、待っててくれたんだ」 「待てと申したのは汝ではないか」 「嬉しいさ」 ラドゥは教室に迎えに来るなり、窓際にいるイオンの身体を抱き竦める。先刻より激しくイオンの胸が鳴った。 「だっ、誰かが来たら…」 「来ない。皆もう帰ったよ」 (あ、汗の匂い…と、太陽に焦げた匂いがする…) 「…イオン、ずっと私を見ていたね」 「!!!!」 「ホラ、可愛い心臓が跳ねた。何考えてたの」 「え?ななななんでもなi」 「いいよ、解る。嫉妬だろ、もしくは不安」 「ちょ!さささ触っ…!」 「触りたい。両思いで触っても拒否されないんだから、男としては健全だろ?」 「困る!!…その、そんなにされると、」 「うん?勃っちゃった?」 「バ、馬鹿者!…あっ、誰か来た!」 「チッ」 大きく舌打ちしたラドゥは、廊下の足音に耳を澄ました。声からして同じ部の奴らだと見当がついたが、ならばこのクラスの人間ではない… 「ラドゥ、もう我らも帰…っ、」
ラドゥは、腕を振りほどこうと身を捩るイオンの細い顎を捉まえ、上を向かせた。片方の手で勢い良くカーテンを引き、二人ごと包む。
…足音がばたばたと廊下を通り過ぎ、室内は再び静かになった。 目線を廊下へ送りながらゆっくりと口唇を離したラドゥは、イオンの呆然とした顔を見て堪らず吹き出す。 「…なんじゃ」 「ゴメ…、だって君、」 「なんじゃ!」 「前に…知って後悔する事も世の中にはあるって話をしたよね、中学の頃。その返事を今するよ」 「…何か後悔しておるのか?」 「してるさ。君を好きになって、どうしようって」 「え…」
ラドゥはイオンを抱く腕に力を込め、柔らかな金色の髪に顔を埋めた。
「本当にね、どうしよう」
…イオンの胸がまた音を立てた。今までのどれよりも小さく、切なく、ただ不思議と満たされて…小さな両手を精一杯延ばし、ラドゥの背中を抱き締める。 真っ白なカーテンが二人を隠して、静かに風に揺れていた。
糸冬 了
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