|
2006/02/11(土)
それぞれのバレンタイン〜エステル編@〜
|
|
|
「…出来た」 エステルは女子寮自室の床に座り込み、たった今ラッピングを終えたばかりの包みを両手で抱えた。 湯煎で何度もダマになり、型抜きで指紋だらけにし、デコレート用のペンで引く線は波打ち…幾度も作り直した結果、昨夜は一睡もしていない。 ハート型の甘いミルクチョコレート、手書きのカードも添えた。"ナイトロード神父へ。愛を込めて" 「…ちょっと余白が出来ちゃったな…」 カード中央に書くべき文字を、少し上に書いてしまった。これではバランスが悪すぎる。 「…絵でも入れるか」 思い返せば、コレがマズかった。文字を書いた黒いペンのまま、下書きもせずにいきなり眼鏡の丸から書き出す。潰れる。慌てて輪郭を付け足す。長すぎた。 「し、しまった…誰だコレ…書き直さなきゃ…」 新しいカードを机から取り出そうとするが、丁度朝の礼拝の鐘が鳴った。 (書き直す時間ねぇし!!…仕方ない、味は問題ない筈だからコレで行こう) エステルはスカートの中、いつも銃を差しているホルダーにブツを突っ込むと、頭巾を無造作に乗っけて足早に礼拝堂を目指した。
糸売 く。
|
|
|