|
2004/05/23(日)
盲導犬の一生
|
|
|
本屋である一冊の本が私を呼び止める。 その本の名はクィール・・・ ご存知だろうか。盲導犬で、映画にも取り上げられたあの、一匹のラブラドール。
私はその本を手にして一気に最後まで読みきってしまった。そして最後には感動して涙があふれでていた。本屋からしては迷惑な話だろうが、鼻水で本にしるしをつけなかっただけよかった。
写真に写るクィールはなんともかわいい。 そのいたいけな盲導犬の一生は、私が以前飼っていた愛犬と重なるところがあり、私の心に響いてくる。
盲導犬の世界はやはり厳しいようだ。 なかなか育たないということで・・・
そのなかで生後、クィールはどうやって盲導犬としての道を歩んできたのだろうか。
業界のなかでも魔術師といわれるほどの腕を持つ訓練士が言う。 「クィールは、飛びぬけた特徴や能力があるわけでもなく、ごく平均的な犬だった。 だが、きらっと光る素直さを持ち合わせていたのだ。」と。
彼は仲間の中でも、ワンテンポ行動が遅く、マイペースで、周囲にあまり影響されない犬だった。若いのにオッサンみたいな犬だったという。 それでも、訓練士のなかでは、扱いやすい犬だった。彼は主人と決めた人にはとことん従順だった。
訓練を受けても盲導犬として働けるものが少ない中、クィールは盲導犬の資格を得て現場へと出て行く。 全盲の方をお連れするだけでなく、人生のパートナーとなって心の支えとなるクィール。
クィールは盲導犬としての役目を終えると、生後一年間育ったパピーウォーカーである家族の元へ帰り、その老後を送る。最期はその家族である老夫婦のひざの上で一生を終える。
よくやったね。クィール。そう思えた。
私の家で飼っていた犬も、ラブラドール似の茶色い犬だった。
彼も、最期はタオルケットの上で寝たきりになり、下の世話を家族みんなでしていた。 あんなに元気だった犬がこんなになるなんて・・・
彼が子供のころ、新しい小屋に怖がって入らないからということで、 私はその小屋に自らが入って彼を安心させたりした。 (親はびっくりしていた。犬小屋から顔を出していたのが犬ではなく私だったから・・・) 崖みたいなところも怖がったので、私が率先して降りていったら、とことこと怯えながらも後から降りてきた。(私は当時、この子は子育の天才かもといわれた) そんな思い出がよみがえってくるものだ。
ひとの役にたった一匹の犬が、今度は人の手によって大事に、最期を迎える。
クィール、そして・・・、さよなら。またね。
|
|
|