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2005/04/14(木) 「バンビ スペシャルエディション」本編
先月発売された「バンビ スペシャルエディション」の感想を書きそびれていたので、いまさらながら。

まず、カバー絵に当然おののく(なぜにバンビというと私の天敵がつきものなんだろう?
しかも北米版のカバーより天敵比率大きくなってるしTT)が、気を取り直して本編。

デジタル修復された映像が、とにかくきれいだ。
昔観ていたビデオではほとんど感じられなかったマルチプレーンカメラの効果が迫りくる、オープニングに感激。
そして、キャラクターの愛らしさにあらためて心を奪われる。
バンビもとんすけもフラワーも、子リスや野ねずみやウズラも、みんな信じられないくらいかわいい。
赤ちゃんバンビが森の中を歩いていくシーンには目が釘づけ。
かわいくてかわいくて、もう、70分間この散歩だけで終わってもいいよ(笑)という感じ。

「バンビ」にしろ「ターザン」にしろ、主人公が突然大人になるのは都合上仕方ないのだが、
その途端に興味が失せてしまう自分は一種のピーターパン・シンドロームだろうか?
バンビもとんすけも、親父声になった瞬間にがっかり(^^;

大人になってからのストーリーは、正直あんまり好きじゃないし。
「バンビ」に描かれる家族や愛のかたちには、どうしても共感できない。
まあ、60年前の時代と、今の時代の価値観は違って当然だけど。
とりあえず当時は、父親が育児休暇とることなんて考えられなかったんだろうなぁ。

それにしても、60年以上も前に作られたことを思うと、この映像の力には驚嘆させられる。

「バンビ」のストーリー展開(特に前半)は、はっきり言ってどうってことないものだ。
雨が降り、季節が移り変わり、子どもが成長し…それは、私たちが日常で気にも留めないようなこと。
でも、動物たちの愛くるしい動きや情感豊かな自然描写によって、
目に、心に訴えかけられると、はっとさせられる。自然の不思議、命の不思議に。
それが、アニメーションの力というものだろう。

以前、誰かにディズニーアニメーションのリアリティの追究について話してみたら、
「じゃあ、実写でやればいいことじゃない」とあっさり言われてしまったことがあったけど、
実写ではなくわざわざアニメーションで表現する意義って、こういうことだと思う。
当たり前に見過ごしてしまうような動きを、1枚、1枚の絵の連続で再現することによって得られる驚き。
それこそ、animate=命を吹き込む、という芸術なのだ。
「バンビ」を観て、あらためてそのことを実感させられた。

ついでながら、最近の作品でアニメーションのこの側面が最大に発揮されていたのは、
「リロ&スティッチ」のフラのシークエンスじゃないかと思う。
感嘆のまなざしで捉えられ、人の手によって描き出された優雅な動きとハーモニーからは、
フラという文化に対する敬意を超えて、生命への驚き、喜びが感じられた。

残念だけれど、現在のオールCGのアニメーションには、こういった驚きが全く見出せない。
ディズニーが今後CGアニメーションを手がける上で、ひとつの課題となることだろう。

最後に…
「バンビ」のような名作クラシックスがこのように出てしまうと、
また「それにひきかえ、今のディズニーときたらよぉ…」という声が聞こえてきそうで、複雑な気分になる。
そう思うのも仕方がない気もするけれど、でも、ちょっと待って。と言わせてほしい。

「バンビ」の時代と、現在のディズニーアニメーションを取り巻く状況は、あまりにも違う。
今は、他社との競争の時代。エンターテイメントが過剰に溢れ、猛スピードで大量消費される時代に、
昔のようにじっくりと表現手段を練り、赤字覚悟で実験を試み…なんて悠長なことはとてもやっていられない。
アニメーターの腕やストーリーアーティストたちの創造性が、昔と比べて落ちたなんてことは決してないと思う。
変わったのはきっと、彼らがそれを存分に発揮することを難しくしている、環境の方なのだ。

それに、「バンビ」のような作品が今の時代にリリースされたとして、果たして受け入れられたかどうか。

さらに忘れちゃいけないのは、「バンビ」だって、公開された当初から絶賛されていたわけじゃないということ。
最初は時代が悪かったり斬新すぎたりで世の中に受け入れられず、赤字だった作品が、
時が経ってやっと評価され、名作と呼ばれるようになる。それがディズニークラシックスの歴史だ。
作品を送り出す側の信念がなかったら、セカンドチャンスが与えられなかったら、
「ピノキオ」も「バンビ」も「ファンタジア」も“失敗作”として葬り去られていたかもしれない。

そう思うと、「トレジャー・プラネット」や「ホーム・オン・ザ・レンジ」を最初の興行成績だけで
あっさり見限ってしまう今のディズニー経営陣にも、「バンビ」を思い出して、考え直してほしいところ…。

DVD映像特典の雑感は、また今度。


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