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2004/07/17(土)
機内で映画
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ホノルルから成田に戻る飛行機内。眠りたいのになぜか全然眠れず、映画をたて続けに観てしまった。
学生の頃はわりと映画好きで、ビデオ含めれば少なくとも月に数本は観ていたのだが、 暇な時間がなくなったのと、現在はTVもない生活のせいで(^^;ほとんど観る機会がなくなってしまった。 考えてみたら、ここしばらく、ディズニー以外の映画って観てなかったな。 久々で、新鮮。これを機に、いろいろ観ることにしよう、と思った。
そんなわけで感想を。
◆女はみんな生きている 2002年のフランス映画。(日本公開は確か昨年。) 平凡な中年夫婦がドライブ中に、男たちに暴行を受けている若い娼婦に出くわす。 夫は、助けを求める彼女を無視して車を走らせるが、彼女の安否が気になった妻は、 運び込まれた病院を突き止め、献身的に介護する。 やがて彼女たちは、手を取り合い、売春組織やダメ夫たちへの反撃を開始する…。
邦題にひいたが(原題は“Chaos”)、おもしろかった。 映画の構成としては、なんかしっくりこない部分もあったし、展開もけっこう都合がいいように思えたけど、 そんなことはどうでもいいくらい、ぐいぐいと引きずり込まれてしまう。パワーのある映画。
ラシダ・ブラクニ演じる若い娼婦がすごい。 16歳で人生のどん底に突き落とされ、凄まじい生活を強いられながらも、賢く、したたかに這い上がろうとする。 どんなに痛めつけられても、諦めない。自分を搾取し続けた男たちから、自分の人生を取り返すまでは。 決してハリウッド的なスーパーウーマンではなく、ガクガク震えながら復讐しようとするところが、またすごい。 (そういえばこの映画、ハリウッドでリメイクされるとか…つまんなくなりそうだ^^;)
対するカトリーヌ・フロの、飄々とした中年女性っぷりも楽しい。 それから、彼女の姑にあたる、孤独な田舎のおばあちゃんもよかった。ラストのなんともいえない表情が、忘れられない。
そんな女性陣に比べて、男性は、どいつもこいつも、どうしようもないやつばかり。 しかも、ろくでなさがやたらにリアル。最終的には、それぞれに相応しいだけの罰を受けることになる。 女たちが、最後に笑う。
うん、こういうのを観ると、強く生きていけそうな気がしてくるよ。 元気になれる映画はいいね。
しかしこれ、男性が観たらどう思うんだろう。感想が聞いてみたいかも。 そういえば、日本公開時にあのすみまろ先生がAERAに紹介記事を載せてたけど、なんて書いてたか覚えてないや(^^;
◆チャーリーズ・エンジェル 実家にいる頃、TVやビデオで何度も観たような気がしていたが、最初から最後まで通しで観たのは実は初めてだった。
全編緊張感なし、ゆるゆるのギャグ。いい年の姉さんたちが、妙にダサいノリできゃあきゃあ騒いでる。 こういうところでぼけーっと観るには、最高の映画かも。
ルーシー・リュ−が、意外にかわいい。 キャメロン・ディアスの顔のしわは、この頃からすでにやばかったのか…。 ドリューは、こんな役どころしか見たことない気がするけど、一番楽しそう。
偶然にも、元気に闘う女たちの映画を続けて観てしまった。 男がみんなアホなのも共通だけど、でもまあこっちは女もアホだな(笑)
◆ピーターパン 昨年公開された、ユニバーサルの実写映画。 後半数十分、見逃してしまったのだが、 どうでもいいとしか思えなかったので今後も観ることはないだろう(^^;
この映画、日本公開時に「実はこんなお話があった(のに、みんなディズニーしか知らないでしょ)」 みたいな宣伝をしていたのでバリの原作に忠実なのかと思って多少興味を持っていたのだが、実際は はぁぁ?どこが???だった。
無理やり“初恋もの”に仕立ててあるところが気持ち悪い。 しかも、キャラクターや舞台のデザイン、いくつかのシーンは、原作じゃなくてもろディズニー。
個人的には、ティンクに納得いかなすぎた時点でもうダメ。 デザインは思いっきりディズニー意識してるのに、妙に老け顔。はっきり言うと、ぶちゃいく(^^; しかも、鈴のような音で話す(これは原作からある設定)はずのティンクが、 猿か虫みたいな声でキーキーギーギー言ってんの。もう、何かの嫌がらせかと。
おまけに、ウェンディが完全に主役に据えられてるせいで、ティンクの存在がかすむかすむ(笑) ウェンディ=母性という設定は曖昧に残したまま、彼女を微妙に現代化して勇敢にしてみせたりするから、 物語のミソであるティンクvsウェンディの図式が全く意味を成さなくなってしまった。
ここからは私の持論になるが、このふたりの対立は、当時のイギリス社会の女性像に重ねてみるとおもしろいのだ。 世紀末から20世紀初頭にかけて、イギリスでは“新しい女”と呼ばれる自立した女性たちが現れ、 選挙権を求め、社会に出ていった。 一方で、こうした女性の登場に危機感を覚えた保守的な男性たちは、 女性は“家庭の天使”であるべきだと論じ、母性を賞賛した。
台所でお鍋を磨くはずの妖精なのに、「お前は女だからついて来るな」と言われながらも ピーターたちの冒険についていったティンクは、新しい女だった。 家庭に入ったウェンディが、娘ジェーンを生み、次なる“お母さん役”をピーターに提供する対し、 ティンクはひとり死んでいつの間にか忘れられてしまう。 だからこそ、私はティンクを忘れないと誓ったのに。だからティンクが好きだったのに…。
ディズニーの「ピーターパン」もそんなに好きな方ではなかったけど、これを観たら見直したくなってきたぞ。
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