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2006/07/13(木)
楽器屋的チューニング話
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某・ブログに端を発したチューニングブームが静かに広がって‥。
性懲りもなくまた書きます。 それだけ奥の深い話、ってことで勘弁。
たぶん俺は職歴上、人の数百倍ぐらい多くの回数のチューニングをしてきたと思う。 で、前回も書いた通り仕事でのチューニングはチューナーを使ってます。
楽器屋時代のほとんど(7〜8年ぐらいかな)で使っていた名器・KORG DTRー1(ちなみに3台使い潰しました)は本当に重宝した。 なにがいいって、1Uラックサイズのパネルほぼ全面にわたってメーターが動くので革命的に見やすい。
なんせ音の上がり方が見やすいので、そいつで何百、何千回とチューニングしてるうちに、メーターの動き方でそのギターのネックの状態がわかるようになった。 入荷したギターをまずチューニングする時に「スーッ」と上がって「ピタッ」と止まるようなギターだと、いじる前から「ああ、いい状態のネックだなぁ」とか、メーターの動きが挙動不審だと「これはネック動くな‥」とか。
単純にネックの状態だけではなくてそのギターの音質なんかも大体わかるようになった。 俺の持論だけど、ギター(ソリッドボディ)の音質の7割ぐらいはネックで決まる。 よくしなるネックや固いネック、太いor細いネック、ナット幅が広いor狭い、、色んなパターンがあるけど、それぞれのパターンには固有の音がある。 フェンダー系は判りやすくて、例えばAとBという2本のストラトのネックとボディをそれぞれ入れ替えてみると、違うボディに付けたにも関わらずBのボディにAのネックを付けたギターは、入れ替える前のAのストラトの音質に近くなる。
っていうのは完全に余談だけんども。
要は弦を1本ずつチューニングしていくと、6本終わった時にはテンションでネックはやや順反りになって最初にチューニングした弦の音程は少し下がる。 その下がり方をメーターでみるとネックの剛性が大体わかるので、「ああ、立ち上がりは早くてサスティーンは中の上」とかってわかる仕組みになっておるのだ。
チューニングの話、っていうよりチューナーの話だども。
なんで仕事ではチューナー使うか、ってえと流石に売り物は自分の好みより正確な音程というのが必要だからで。 わずか1セント、チューニングを上げ下げするだけで、ギターの倍音の出方は変わる。 耳がよければ絶対わかる。
だから耳の良い人は正確にチューニングしたギターを渡しても、好みの音質じゃなければ微妙に上げ下げしてみる。 ‥まあ、合ってるかどうかすら判らなくて、とりあえずペグをいじる人も沢山いるけど。
逆に自分が客として楽器屋でギターを弾いてみる時、いい加減なチューニングをして渡す店とかではもう何する気も起きない。 結構多いけど。そういう店。 たまにあるじゃん。半音ぐらい余裕で狂ってんのに平気で渡す店。また余談。
倍音の出方が変わるってことは、他の楽器や声と合わせた時にチューニング次第できちんと抜けてくる音だったり耳障りだったり、って違いも出るってこと。
機材的な音作り云々以前に適切なチューニングなのか?って考えてみるのも実は大事なんじゃなかろうか? あまりに基本的なことでほとんど語られないけど。
というかチューニングは音作りの第一歩じゃないか! それが出来ない人って、ちゃんとした音で人様に聴かせる、という最低限のミュージシャンのマナーすら無い人と見られてもしょうがないかもよ?
と、うまく毒が吐けたところで今日はここまで。
歯ぁ磨けよ! チューニングしろよ!
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