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2005/09/16(金)
俺とオヤヂ
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今日は一つ、美談めいた話と暴露くさい話をしてみようか。
この夏、リトダラはある一つのプロジェクト(それは「今世紀中に初のスタジヲ盤をリリースする」というものだが)に係りきりになっていた。
その結果として東林間(ちなみに南林間もあるけど西、北はないのはどういうことなんだろう?)にあるスタジヲ、「F」というところに頻繁に出入りしたのであった。
「F」の店主は名物といっても差し支えない程度に有名なおやじで、それは例えば、たまたま親しくなった呑み屋の店員がバンドをやっていて「F」を使っていると知った時、ひとしきりそのおやじの話題で盛り上がることが出来るといった程度(それは実は凄いことだ)の「名物」おやじなんです。
おやじは、何というか無愛想というか事務的というか、独特のキャラで一種、近寄りがたい雰囲気なのです。
8月のある週、俺はその週のうち五日を「F」で過ごしていた。
そんな日が続いたある午後のこと、「F」の前で時間を待っていると掃除に出てきたおやじが俺に話し掛けてきた。 話題はその辺りの駐禁取り締まりについてだったかと思うが、そのような他愛もない会話がその後何日か俺とおやじの間で交わされ、いつしか俺とおやじは顔をあわせれば挨拶をし、おやじは俺に 「今日はBスタです」 などと、予約者(バンド=リトダラ)と俺が関係者であることを把握しているかのような台詞を吐くにいたったのであった。
普通のスタジヲなら当たり前のことかもしれないが(否、当たり前だ!)、リトダラ内では攻略不可視されていたあのおやじとこのような関係を築いたというのは、後の人生で2005年の夏を振り返った時に必ずや思い出されるであろう美しい出来事なのである。
何故、俺がおやじとこのように会話を交わすに至ったか?
それには俺がスタジヲ前で過ごす時間の長さ(=他のメンバーを待つ時間の長さ)、というものが深い関係を持っているのである。
察しの良い読者ならばもうお解りの通り、奴等は時間通りにこない! 5分、10分遅れはもはや「定刻通り」である。
今日もおやじはスタジヲ前の路上に置いたフェンダー・ヴァイブロバーブアンプに腰掛けた俺に軽く挨拶をくれて店内に戻っていった。
さて、今日は何分遅れで来るのかしらん?
すっかり見飽きた対面の赤提灯を見ながら、俺はテトリスに興じるのであった。
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