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2005/07/02(土)
旅人気分
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目的があった為に乗り込んで、長い時間揺られることを気にならないように、 読みかけの本を持って行った。 夢中になりすぎたのか、予定の電車に乗り換えられず、次の電車に乗り換える。 程よい人々の数。このくらいがいい。 ドアの横の長い手摺りに寄り添って、本の続きを読もうとすると、 父子の会話が聞こえる。
「早いね、この電車。」 『快速だからねぇ。すぐ着くよ。』 「へえ、そうなんだぁ。おもしろい。」 『そうか。』 「ぼく、お父さんのこと大好きなんだ」 『そうか。お父さんも○○のこと大好きだぞ。』 『さ、降りるよ。』
ドアが開いて二人は出て行く。 わたしは目頭が熱くなるのを感じて、必死でこらえようとする。 なぜだかわからない。 ドアが閉まる。 わたしは彼らを目で追った。もう、姿は見えない。 わたしはあの子くらいの頃、どんなだっただろう。 窓の外を見ていただろうか。 電車が速いと感じただろうか。 父に思いや想いを伝えただろうか。 もう、忘れてしまった。
あの子はきっと、素敵な大人になるだろう。
本に目を戻す。
結局今日はあったはずの目的はなくなって、読書な旅の一日となる。 本当はカフェにでも行ってゆっくりしたかったけど、 悲しいことにそこまでゆとりがない。
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