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2005/04/26(火)
浜田広介の童話
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この話も好きだった。
「たぬきのちょうちん」
おじいさんのたぬきがいました。 年をとって最近ではあなの中でおとなしくしているだけでした。 「おじいさん、何をみているの?」まごのたぬきがききます。 おじいさんたぬきは、まごのたぬきのかおを見つめながら 「空と雲を見ていると、昔のことがおもいだせるんだよ」 とこたえて、おじいさんのわかいころ 化けた話をしてきかせました。
そしておじいさんたぬきのおじいさんから いわれた話を、まごのたぬきにしてきかせました。 おじいさんのおじいさんは「お前はけして気のきく子では ないけれど、なにかひとつしっかりおぼえて 役にたてればそれでいいんだ。」と言って たったひとつの化け方をおしえてくれました。。 何に化けたいかときかれたおじいさんは、 いろいろ考えたすえに、暗い晩でもあかりをともせる ちょうちんがいいと思いつきました。
おじいさんは、いっしょうけんめい 化け方をならいました。 まごのたぬきがききました。 「そのちょうちんを誰がもっていたの?」 おじいさんはこたえます。「お祭りのばん、村のはずれの ヤナギの木にぽつんと下がっていたんだよ」 お祭りの帰りの人が、ありがたがって とおっていくのが、うれしくて 今でも時々思い出すんだよ、と話してきかせました。
まごのたぬきは おじいさんが、なぜうれしかったかわかりました。 人にしんせつにしてあげたからだと。。 そして、おじいさんに言いました。 「ぼくにもその化け方をおしえて。人がうれしく思って くれるなら、ぼくも化けてそのちょうちんになる」って。
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