|
2005/07/04(月)
軽いコトバ、重いコトバ
|
|
|
吉田戦車『伝染るんです』の何巻だったか忘れてしまったが、自分の足の小指(親指だったかもしれない)が嫌いでビシビシたたいている男(A)が出てくる。それに同意した彼の友人と思われる男(B)が、男(A)の小指を「ほんとうにそうだよな」といってビシビシたたくのだが、男(A)は不快感をあらわにして「よせよ」という。おれは、戦車独特のキャラクターが「不快感をあらわにする感じ」に面白みを感じる。男(B)にしてみたら、「だってお前、嫌いっていったじゃん」って感じなのだろう。Aにしてみたら、「たしかにそうだけど、お前(他人)にはいわれたくねえよ」って感じなのだろう。でも、戦車は人物にそんな台詞をいわせていない。伝わってくるのは、その雰囲気だけだ。
ウンコポップスが、愛だの恋だのセックスだのリスペクトだの友情だの夢だの、普段口にするのも恥ずかしいことをハッキリとストレートに歌い(謳い)やがる。説教臭くて腹が立つ。そんなの、エロ漫画と変わんねえよ。ポルノと変わんねえなら、これからは、POPPSというジャンルにしろ。とくに夏に出没する和製ウンコレゲエとか、ナイロンキャップでタンクトップな感じの若者が歌っているのがひどい。たしかにそのテーマの普遍性は認めるけど、そんなことお前らにいわれなくてもわかっている。貴様ら、プロなら、表現者なら、比喩を使え! (*ヤツらは「死」についてはなぜか触れない。愛とかエロースについて表現するなら、「死」は必ず意識されるはずだとおれは思うのだが。ヤツらの歌が陳腐に聞こえるのはそのせいかもしれない。そんな詞を書いたらレコード会社はCD出してくれないのかもしれない。)
普遍性への志向はたいせつだが、それをそのまま表現するコトバは陳腐だ。 そもそも「普遍的なもの」なんかないのだから。
automobile
|
|
|