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2005/01/17(月)
中立
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おれのバイト先のバイト店員のなかで、男はおれだけだ(社員には男はいる)。客観的にみればハーレムのようにみえるため、そのことをひとに話すと「さぞかし楽しいだろう」といわれる。一緒に飲みにいったり遊んだりするけど、そういう「異性との交歓!」という意味ではべつに楽しくはない。大学1年の頃からやっているが、誰かとの情事が起きたこともない。「それはお前にセックス・アピールがないからじゃね?」といわれればそうかもしれない。だが、おれのバイト先における位置を客観的に判断すれば(なにをもって「客観」とするかはとりあえず置いといて)、おれは比較的好感を持って受け入れられているようだし、おれが前かがみになって必死に努力すれば、何かしらウフフな事態もあった可能性もないとはいいきれない。しかし、おれの現実は、周知のように「冴えない男」のままだ。 そして、その点がまさに、おれが女だらけの水泳大会、いや、女だらけのバイト先で長続きしている理由のひとつだと思う。おれはすべてのメンバーひとりひとりと、常に同じ距離を保っていて、だれかと特別に仲良くするようなことはしない(べつに意識してそうしているわけではない。おれは単なる「八方美人」なんだと思う)。これがみんなと「仲良く」できる理由だ。多くの人間と仲良くするためには、特定の人間と仲良くなってはならない。特定の人間と特別に親しい間柄になるということは、必然的に人間関係のドロドロとした部分に入り込むことになる。おれは、無意識的にそんな人間関係における技術を習得してしまっていた(なんでそうなったか、ということについては、おれのこれまでの人生をふりかえると思い当たる節があるが、ここで書くようなことじゃない)。だから、バイト仲間と一緒に遊んでいてその時は本当に楽しくても、ふと自分が自分の本当の顔をさらしていない卑怯な人間に思える時がある。同時に、おれは誰とも親しくないんだと、急激に孤独感に襲われることもある。 これは、国家についてもいえる。スイスとかスウェーデンとかの中立国(スウェーデンはEUに加盟しちゃったけど)なんかの歴史をみてると、「まさにおれのことだ!」とシャウトしそうになる。中立国の「自分のことは自分でやるから、口出さないでね。おれも口出さないから」的なスタンスは、同盟を結ぼうとする他国に反感を買う。スイス銀行は悪党の金庫にもなる。襲われても自衛できるように、武装しなければならない。「中立」=「孤立」であることから生じるジレンマは、耐え難いものがある。国家レベルならなんとかなるかもしれない。でも、個人はその重圧に耐えられるのかしら。これは、自分の人生のなかでいろいろ試してみるほかない問題だな。
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