スノーボードコラムセピア
どこかでなくしたあいつのアイツ
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2005/01/10(月) 青の呪縛。あるいは、あなたにとってのジーンズはなんですか?
前回までのあらすじ

寝食を忘れて卒論に没頭していた「おれ」は、洗濯を忘れたためにパンスト(パンツ・ストック)が切れ、真冬に海パンを履くことになったのだが……
「海パンは、夏☆に履こう。『くそまん』は、漫☆画太郎」
2005年、年男の格言その1。

先日、卒論を提出してきました。応援してくださったみなさまには、ほんとうにハゲにされました。いや、ハゲ増しました。いや、励まされました。この場を借りてサンキュー。あまりにもひどいものを出したので、来年度も仙台にいるかもしれないですが、そのときはよろしくおねがいします。
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卒論を提出したという少しの開放感のために、久々にジーンズを買ってしまった。ちょうどマズヨシがブログでジーンズの話もちょろっと出していたので、ちょうどいい、今回はジーンズの話でもしよう。

ヴィンテージ・ジーンズが中学生当時に流行しだした。リーバイスの大戦モデルだとか、66モデルだとか、ナントカモデルとか、ナオミ・キャンベルとかが雑誌にたくさん載っていて、マズヨシやおれなどの偏執狂を魅了した。ディティールの微妙な違いとか、色落ちの感じとか、とにかくジーンズはカッコいいシロモノだった。当然そんな本物は、中坊には高くて手が出ない。古着屋の天井からぶら下がっている本物の501XXは、縦落ちした深い紺色をたたえ、神聖な雰囲気に包まれているようにみえた。古い仏像のようだといったら大げさだろうか。

やがて、日本製の「レプリカジーンズ」なるものがあることに気づく。ディティール、生地、染色方法などを徹底して、できるだけ本物に近づけようとしたやつだ。リーバイスやリーでも純正のレプリカを出していたが、やはりマスプロダクツだけあって、細部へのこだわりが甘かった(そういえば、レッドウイングやクラークスの靴も日本のマス・マーケットにのってから、造りが素人目にも粗くなったよね)。おれは「本物」じゃないレプリカにやはり最初は抵抗を覚えたんだけど、本物は手に入りそうにないので、やっぱり欲しくなった(それでも相場は2万ぐらいで、決して安くない)。

んで、お年玉をためて初めて買ったのが、東洋エンタープライズという会社の「シュガー・ケーン」ブランドのジーンズ。もう、うれしかったですよ。いつもは母ちゃんに洗濯してもらってるのに、自分で手洗いとかして。干し方とかにもこだわって。早く色落ちして欲しいんだけど、あくまでも自然に落ちてほしいからじっくり待つしかない(いま思うと、すごいエネルゲイアをそそいでいたなぁ、と我ながら感心する)。
 
このあと高校・大学に進む過程で、そういったレプリカジーンズの類いは2本ぐらい買ったものの、おれのなかのジーンズ熱は収まっていくのです。つまり、絶対の神として君臨していたものが、選択肢のひとつになってしまった。むしろ、純粋なレプリカは部屋着になってしまっていた。あと、履かなくなった理由としては、ジーンズのもつあの「アメリカ!フリーダム!」な感じがイヤになったというのもある。じっさい、ジーンズはヒッピーに好んで履かれたし、天安門事件のときの学生たちはジーンズを履いていたそうじゃない。資本主義システムの負の部分、石油利権をめぐる戦争、「消費者」にすぎない自分の現状など、「自由」がもつ欠陥を見せつけられるとき、ジーンズを履く気は失せてしまうのです(べつにヒッピーや天安門事件自体をどうこういいたいわけじゃなく、ジーンズがまさに「自由」の象徴として用いられたということをいいたい)。……こんなどうでもいいことをモンモン(cf.つの丸)と考えながら時はすぎていったのです。
 
それで、このあいだ、部屋着にしているジーンズをふとした瞬間によくみたわけです。そしたら、なんだかとってもキレイに色が落ちている。おれが履くことで生じたシワが残っている。汚いシミが残っている。それらをみたら、なーんかジーンとしてきたのです(やや誇張)。んで、ジーンズがふたたび欲しくなった。
 
おれは、まさにそのジーンズを履いて、新しいジーンズを買いにいった。おれが買ったのは、初めて買ったのと同じ「シュガー・ケーン」のやつだ。でも、今度は純粋なレプリカではなく、オリジナリティの高いサトウキビの繊維でできたデニムを使ったやつ。サトウキビのいいにおいがする。そのジーンズは伝統的な造りを踏襲しながら、個性を発揮しようとしている。……コイツがくたくたになったとき、おれはどんなふうな人間になっているだろうか。そして、「今」をどう振り返るだろうか……。



余談ではあるが、初めて買ったやつは少しサイズが小さくなったので、実家においてある。できれば、将来自分の子どもにプレゼントしようと思っている(結婚できるかなぁ)。そいつは、汚いジーンズをよろこばないかもしれない。でも、呪縛をかけてやるのだ。おれの、Negative Mental Attitudeを!(ケムリファンのひとはごめんなさい。ケムリは好きです)

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