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2004/07/19(月)
旅の途中
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ツーリングでいちばん気を遣うのは、ルートの選択だ。 タイの北部にさしかかったとき、ミャンマーとの国境付近の山岳を走るか、それとも平地を走るか、迷ったことがあった。山岳を走り抜けるだけの体力が自分にあるのか。
景色は山のほうが絶対にいいし、なによりも達成感が平地とはぜんぜん違う。正直にいえば、このとき天秤にかけられていたのは、「山で力尽き、他人に迷惑をかける自分」と「安全策をとったチキンな自分」とだった。どちらの自分が自分として許すことができないか。どちらの「弱さ」を自分が受け入れるのか――。
次の日に、足が向かったのは山のほうだった。 今、五体満足で酒を飲んだり、踊ったり、合コン行ったりしている(先日、撃沈)おれだが、おれの「今」は、その山岳で人に助けてもらったぶんだけ延びている。 後悔はしていない。
誰が言ったのか覚えてないが、「選択においてどっちを選ぶか迷ったら、面白そうなほうを選べ」というようなことを聞いたことがある。たしかどこかの社長で、かなり「やり手」な感じのおっさんの発言だったように思う。タイ山岳での経験から、おれはおもわずその発言に賛同してしまいそうになる。だけど、同時に「そんな単純なもんじゃないでしょう?」と反発もする。
成功者に対する不合理なルサンチマンがおれのなかに少なからずあるのは認めるが、そのおっさんの人生を否定はしない。おそらくそのおっさんは、人並み外れた努力をしたのだろうし、かなり辛酸をなめてきてもいるのだろう。けれどもなんか、脂ぎった人間にいわれると、生理的に反発してしまう。そのおっさんが嫌なのではなく、そいつに安易に流されて思考停止したがる自分に反発するのだと思う。
自分が教訓垂れるようになったらアウトだ。←アウト
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