スノーボードコラムセピア
どこかでなくしたあいつのアイツ
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2004/05/11(火) 商店街3.0 ( 04.9.21up)
森林公園で弁当を食べることにする.
太陽はちょうど僕らの真上にかかり,すこし暑いくらいの秋の陽気だ.
空気は澄んでいて,芝生のスペースは十分に広々として,よく整えられている.
穏やかな休日,人々はのんびり好きなことをして過ごしている.
背の高い夫と美しい妻が笑いながら話をしている.その視線はともに走り回る2人の子どもたちを目で追っている.スケッチブックを広げ,風景を描いている初老の紳士.木陰でカップル(僕らより年上に見える)が膝まくらして耳掃除をしている.
世界は完全に調和を保っていて,何一つ心配することはないように思える.LOVE&PEACE.
適当に場所を決め,弁当を広げる.
彼女が作った弁当の中味はサンドウィッチだ.パンの角がしっかり立っていて,きれいに直角三角形に切られたサンドウィッチ.
「最近読んだ小説の中で,こんな感じのサンドウィッチが出てくる場面があって,すごおく食べたくなったんだよね.」と彼女が言う.
彼女はなにかと影響されやすいほうかもしれない.
「うまいね.パンにうすくバターがぬってある?このおかげでパンが水分を吸収してしまうことを防いでるのかな.」と僕は適当なことを言ってみる.
「その通りよ.それに具材も結構いいの使ってるし.スーパーの食材はやっぱりなんかいまいちだったから.商店街まで買い物にいったのよ.」彼女の顔は自身に満ちている.
「さすがだね.でもひとつ問題を見つけたよ.」
「えっ,何?教えて.」彼女の表情が一瞬曇る.
「今ここじゃ,このおいしいサンドウィッチが冷えたビールと一緒に食べられない,ってことだよ.」
「なんだ.それだけ?ダメ出しとかは無いの?」
「僕の知る限り最高のサンドウィッチだよ.弁当じゃなくても機会があれば作ってほしいくらいだよ.できれば冷蔵庫にキンキンに冷えたビールをたくさん用意しておいてね.」
「そう?本当に?良かったわ.」彼女の表情が輝きを取り戻す.つられてぼくの顔も笑顔になる.

メジャー80


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