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2004/05/25(火)
商店街2.0
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買い物を済ませ,ふたり肩を並べて家路につく.夕日が街ぜんたいを黄色く染めている.
ふと隣を見ると,彼女が有り得ないくらい美しい.たまらなくいとおしく感じられる. しかし同時に,自分がどうしようもなくつまらない存在に感じられる. 僕は魅力なんてとくに何もない.こんな俺と一緒でいいのだろうか?
つい 「どうして僕みたいな男と付き合おうと思ったの?平凡でつまらなくはない?」 ときいてしまった.
そうしたら彼女は 「そんなこときかないで」 と目に涙を浮かべ,弱々しく答えた.
「じゃあなんで,なんで私みたいな,わがままなな人と付き合うの?」 と問い返された.
返答に窮する. そりゃ君は… たまにはわがままで,思い込みが強くて,感情的.それは認めるけれど, 美しくて,頭が良くて,自由にものを考えるから…
しかし… こんな言葉の羅列はまったく無意味ではないか? 口に出した途端に,嘘になる.違う. 言葉という道具は不完全だ.
要するに,君だけは僕にとって特別な存在ということだ. 例えるなら,僕の心の中には,君のために用意されている部屋がある.たとえ君が僕を離れていったとしても,君のための部屋はずっと空っぽのまま残る.君のために空いている空間は一生消えない.君の不在は僕の中で永遠の不在だ.
きっと彼女の中にも,自分を必要としている部屋がある.そう信じてみることにした.
「うん.さっきは下らないこときいてごめん.今はうまく言えないけど,いつかその疑問にちゃんと答えるよ」
80%フィクション メジャー 040703
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