スノーボードコラムセピア
どこかでなくしたあいつのアイツ
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2004/11/08(月) 「異端」の再生
今回のは、かなりひどい。



最近、平野啓一郎の『日蝕』(新潮文庫)を読み直してみた。初めて読んだのは高3の頃で、たしか平野が京都大学在学中に芥川賞を受賞したときのことだ。はっきりいって当時は何をいっているのかさっぱり理解できず、なんとなく重苦しい雰囲気しか伝わらなかった。あまりにも理解不能だったので、すげえ大学生がいるもんだ、おれがコイツの歳になったらこんなこと書けるだろうか?とか、ナマイキにも考えたものである(最近なんか高校生が芥川賞とったりしているが、保守的なおれは読む気がしない)。


さて、今はまさに当時の平野と同じ歳だ。クソ高校生(「クソ」は「高校生」の枕詞)の時よりはかなり理解でき、小説としておもしろく読めたのだが、一層深い所でやっぱり理解(追体験?)できたとはいえない。これから定期的に読み直したい作品だ。



以上はイントロダクション。なぜ、『日蝕』を持ち出したのかというと、「魔女狩り」がモチーフになっていたからだ。おれは西洋史はまったく詳しくないが、中世ヨーロッパには魔女狩りの習慣があったことをどこかで何度か耳にしている(常識か?)。何かよくないこと(疫病の流行とか、農作物の不作とか)が起きると、「魔女」を見つけ出し(創り出し)、そいつのせいにして吊るし上げることで事態の改善を図る――。社会不適応者とか、変なヤツを取っ捕まえて殺すことで、不安の解消をする(小説のなかでは両性具有者と錬金術師が吊るし上げの対象になる)。いわゆる、スケープゴートというやつだね。植草教授やマーシーのような不完全変態(脱皮しても形態は変化しないという意味で)が跋扈する現代では、まったく考えられんことだが、事実だそうだ。

前々からいっていることだが、おれも変態だ。捕まったヤツらと違うのは、ただ興奮を感ずる領域が違うだけだ。おれが快感を覚ゆる領域がただ単に法に触れないというだけのことだ。おれなんか中世ヨーロッパだったら絶対に魔女として殺されていた。社会不適応、意味不明、自意識過剰、性欲過多、挙動不審、注意力散漫、内向的、抑鬱、彼女いない、ブリーフ、乳首の毛、情緒不安定、虚栄……その要素を挙げればキリがない。もちろん、これらの要素をポジティヴに言い換えることもできる。たとえば、自分の世界を持っている、個性的、崇高、繁殖力旺盛、好奇心旺盛、繊細、硬派、実はトランクスより通気性がよいブリーフ、皮の薄い乳輪を外部の刺激から守る乳首の毛……てな感じに。問題はまさにここにある。

価値観が多様化した現代の日本では、ネガティヴは見方によってはポジティヴにもなり、その逆も然りだ。要するに、絶対の価値観が存在しない。ファシズムを経験し、学習した(させられた?)日本の価値観は、「価値観の多様性を認めること」「寛容であること」だから、しょうがない。


いまのこの国では、魔女はふつうに生きることができる。いいことだが、自称魔女のおれにとっては由々しき問題だ。なにしろ、明らかにおれが考えていることはおかしいのに、「そういう考え方もあるよね」といって流されてしまう。キレイに畳まれて、タンスに入れられ、二度とあけられることはない。おれは、肩すかしを食らう。おかしないいかただが、魔女は迫害されることによって生の悦びの頂点を迎えるはずだ(もちろん、表面的には苦痛であったとしても)。「自分のことを認めてもらいたい、理解してもらいたい」という欲求は、いちど拒否されることで充実を迎える。拒否され、「わかってもらいたい」という気持ちはより高ぶり、それでもダメなら、「理解できないお前らが劣っているのだ」と、高みに登ることもできる。人は、そんな寂しく、ひねくれた状況にも快感を得ることができる。生きる力をもらうことができる。

価値相対主義なんか糞っ食らえ!
なんて、うんこよりマズい価値相対主義に喰われた男がいってみる。


automobile

先週のメジャーコラムへの反応
へぇー、なるほどねって感じで読みました。おれの超主観的観測も、あながち間違っていないかもしれないなー、と数分感にわたって小躍り。現代社会でも女性の(おれがコラムで書いた意味での)自由奔放さは失われてほしくないわ。それこそフェミニストに怒られそうな発言だけど。
あと、細かいことだけど、ジェンダー(社会的に形成される性差)というよりは、どちらかといえばむしろセックス(生物学的な性差)についての話だな。


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