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2004/04/11(日)
変身(後編)
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前編(http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/board-column/?Y=2005&M=1&D=23)
朝から大変憂鬱だったがバックレるわけにもいかない。女装コンテストは午後の一発目だったので午前中に化粧品などの小物を買い出しに行った。こんなに気のすすまない買い出しがかつてあっただろうか。店員に変な目で見られながら会計をする。少し思うところがあったので風船も買っておいた。シラフじゃやってられないので買い出しついでに日本酒を買って3人で飲んだ。
昼休み前に借りる約束をしていたセーラー服を届けてもらった。姉も妹もいないのでこのような物品をここまでちゃんと手にするのは初めてだった。なんらかの感慨がわくかと思いきや別にそうでもなかった。早速着てみる。ウエストがきつくてスカートの横のファスナーがあがらなかったがまあ着ることができた。
続いて化粧をする。といっても自分ではできないので植物系の女子にやってもらう。最高に複雑な気分だ。ファンデーション、口紅、アイシャドーなど化粧はどんどん進み、普段は味わえない女の気分を味わう。化粧をしてくれる側もなぜか実に真剣な表情だ。作品を作る芸術家の気分なんだろうか。駄作が出来上がることうけあいなのに。名前はわからないが睫毛をつかんでぐいっと上に向ける器具に瞼がはさまれそうでとても怖かった。髪型は他の2人はカツラをかぶっていたがオレは当時は茶髪でショートヘアの女の子くらいの長さはあったのでヘアピンで止めて分けることにした。
顔面が完成したので便所に行って見てみた。どうやらオレは自分を過大評価していたようだ。少しは可愛くなるだろうと思っていたが、可愛さはかけらもなく非常に気持ち悪いオカマ面が鏡の中にあった。ファンデーションのせいで顔が白くなり過ぎて、能面の化け物みたいだった。他の2人もかなりやばかったが。近くにいた植物系の出場者はブラジャーに肉まんを仕込んだりしていてかなり本格的だった。
問題の出し物だが、オレたち3人がキャバ嬢という設定で一人ずつなにかやることになり、チャイナ服が一着余っていたのでもう1人海洋系の男に友情出演してもらい、そいつがクラブのママに扮しオレたちを紹介する役をやることになった。しょうがないので買ってきた風船を胸に仕込み、巨乳キャラでいくことにした。
昼休みが終わりコンテストが始まった。海洋系の出番は一番初めだった。巨乳がカブったら嫌だし早く終わらせたかったのでそれは好都合だった。
3人の中でもオレが最初だった。オカマのママに「当店のNo.3、小池栄子と同じFカップ、和美でぇーす!」と紹介されたので真ん中に行ってマイクを持って、いつもの喋り方で、むしろなぜかこころもち低い声でボソボソと「えーと、和美です。今日は審査員の先生方にあたしの自慢の巨乳を確かめてもらいたいと思います。どうぞ触ってみてください」と言って正面の審査員席に歩いて行った。審査員は五、六人いたが大体が教授クラスのじいさんで、一人だけ女の審査員たった。巨乳をさしだして「どうぞ」と触らせたが殆どが苦笑いだった。中には「お、やわらかいねぇ〜」なんて言うやつもいた。観客にはやや受けだった。
自分の出番が終わると途端に気が抜けてしまった。当店のNo.2とNo.1はパンチラ(トランクスで)を見せたり裏声で自己紹介とかをしていたようだが反応は冷ややかで、これじゃあオレがNo.1だったなあなんてくだらないことを考えながらボーっと見ていた。
閉会式でコンテストの順位が発表されたが、我が海洋系は6組中6位だった。優勝は3人揃いの制服でプッチモニの曲を歌って踊った生命系のトリオだった。まあやる気と準備の差が出たな、と思ったがもうそんなことは心からどうでもよかった。とにかくやっと終わったと思った。その日の打ち上げの酒は不味かった。
後日、借りた制服を返す前にクリーニングに出しに行った。セーラー服を持っていくのはかなり気が引けたが自分では洗えないしそのまま返すわけにもいかない。クリーニング屋のおばさんに渡すとボタンがとれたりしてないかなどの破損具合を確認するためか、制服をチェックしだした。チェックし終えると「今野さん?」とオレに聞いてきた。反射的に「いえ、太田です」と答えたがその直後にしまったあああああああああああああああ!!と思った。制服には「今野」と刺繍がしてあったのだ。「はい、そうです」とでも言っておけば妹の制服をクリーニングに持ってきた優しい兄という設定も通用しただろうに。これでこのおばさんの中ではオレは制服プレイヤーあるいは制服コレクターもしくは女装癖男の烙印を押されたことであろう。女装は間違ってはいないのだが。そのクリーニング屋にはその後1年くらい行けなかった。
まあいろいろあったがもうそろそろ時効だと思うのでその時の写真も載せてしまえ。惚れるなよ! オタ
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