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2004/11/15(月)
逆転ホームランの体験ダイビング パート3
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ほうほうの体で、餌付けポイントに辿り着くと、もう餌付けが始まっていた。餌付けの中心にいるのは、もちろん、うちのエースで目立ちたがりのN島で、魚の切り身などを、お客さんに配り始めていた。私の役回りは、餌付けの輪の少し浅い所に浮きながら、お客さんの様子を観察しながら、トラブルを未然に防ぐ係だった。私が担当している柔道家の先生は、餌に食らいついてくるキタマクラじゃなくて、臆病だが見た目が綺麗なカゴカキダイに餌をやりたいらしく、キタマクラを太い指で、さかんに追い払っていた。だが太い指が怖くて、カゴカキまで餌に、ありつけない状態だった。私はサラリーマン生活を12年経験したが、仕事ができなくて自分の主張ばかりしていたため上司に激しく嫌われた。当然、おいしい仕事はまわってこない。まるでこのキタマクラ状態である。するとカゴカキはN島というところか。ってな事を考えていると、N島担当のカワイコちゃんが、息が苦しいというサインを出したのである。彼女はウエットスーツの上着がきつかったのである。エントリーする前に、彼女とN島の会話を、聞き耳を立てて聞いていた私は、彼女がN島にそういう内容のことを話したのを聞きながら、「ボインちゃんであるが故、さもありなん」と1人で納得したのだった。ダッシュで彼女にアプローチして、上着のファスナーを、お腹のところまで下ろすと、彼女は、落ち着いてOKサインを出したのである。それを見ていたN島もすぐに駆けつけた。そんな彼に私が水中ノートに書いて見せたのは「心配だから、担当を代われ」という文章だった。柔道家の先生もこの騒ぎで、キタマクラを追い払う手が一瞬止まった。その隙に切り身をくわえて逃げ去ったのである。私もN島とのレベルの低い戦いに、逆転勝利した。しかし、その代償は大きく、週に1回、私の自宅でパソコンを家内と私に教えてくれていたN島先生は、教室にこなくなった。
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