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2007/01/20(土)
午後の思考
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―様々な物事について考えられなくなることが一番恐ろしい
谷川俊太郎の『ぺ』というショートショート集には『エデンの園』という作品がある。
話の概要は次の通り。
町も村も都市もなく、人間は羊のように群れて生きている。
髪もひげも伸び放題、はだは垢まみれだが、彼らの目はおそ ろしいくらい、やすらかに澄みきっている。
「幸福と平和を守る地球コントロール委員会」が、一定の間 隔で「幸福増進剤二九六二型」を大気圏に散布し、その後、「避妊光線の定期放射」を行い、「一般精神安定剤並びに栄養剤配合の夕立」を降らせてくれる。
人間は、生殖という原始的な手段に頼らずに存在し、もはや時間に無頓着だった。
不老不死を手に入れた人間達は、風がたった底抜けに晴れ渡った青空から降る夕立に、ゆっくりとした動作でのびをしながらそこここで体をさらす。
見に付けた腰みのの、しりのあたりからはそろってはえかけ たちいさなしっぽをのぞかせながら
考えることをやめてしまったら、私にもしっぽが生えてくるのではないかと思う。
デカルトの『方法序説』にある「ワレ惟ウ、故ニワレ在リ」の一文はあまりにも有名だが、考えること無しに、自分という人間は存在しないと最近強く実感する。
昨年一年間は、自らの制作について深く考えようと決意した年であった。
しかし、社会にでて、様々な物事の中で、それを出来なくなっている自分に気付いた時に、本当に恐ろしくなった。
私にとって大切なことは、自らと深く対峙し超えていくことだ。
三月で、今やっている非常勤講師も終わる。
いずれにしても、一番大切なことを怠ることがない様、日々生きていこうと思う。
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