asa. Diary
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2006/12/07(木) 「悩める時間」―トントンギコギコ図工の時間を鑑賞して
―「悩むことの出来る時間」が確保されているというのは、本当はとても幸福なことだ



ちいさいころから大人になるまで私達は様々な数字に右往左往する。



テストの点、偏差値、評定、単位、ノルマ、売り上げ、給料etc...



数字を重視するばかりに、忘れてしまいがちな「悩める時間」の大切さ、貴重さに気付かせてくれた映画がある。


「トントンギコギコ図工の時間」


野中真理子監督作品で、美術に携わるものなら、知っているちょっとした話題作だ。


児童達の、図工の時間に起こる、作品の制作を通しての、様々な困難…。



「どうすればつくりたいカタチになるのか」

「どうすればしっかり固定できるのか」

「どうすれば人に伝えたいことを伝えることができるのか」




様々な自分の困難に直面した時、その困難へどうアプローチするのか。



先生は言う。



「悩んでください。」



「悩む」ことをしても良い時間。


「悩ん」で、「悩んで」「悩み」まくって、しぼり出した自分自身の答えを具現化できる時間が図画工作・美術の時間だ。


児童達のそうした「悩み」「分かり」また「悩む」姿。


その時間の貴重さを改めて実感した。


そして、考える。


図画工作の時間に関わらず、学校教育、いや、社会全体で、この「悩める時間」は失われつつあるのではないかと。



塾化する学校現場

学生のうちからの企業研修



本来「悩むこと」が許された時間にさえ、社会のシステムが侵食している。


そして一番危険なことは、このシステムを疑うことなく、自ら「考えること」つまり「悩むこと」を辞めてしまうことだ。


絶対的な神のようなものを信仰の対象としない日本人は、他人と自らを比べ、勝っているという優越感を得て自らを保っていると聞いたことがある。


自分の中に自身の価値観を見出すことが出来ずに、客観的な数字を求め、自らを保つ社会…


私はこの映画を見て、本当はもっと自身の身近にあったはずの「悩む」時間の存在、そして「悩ん」で「悩ん」で、何か自分の中で発見したり分かったりしたときの嬉しさを、思い出した。


そうしたことは、数字には現れない。


けれどなんていうか、「わかった」ときは、とても気持ちよくて、それを人にも伝えたくなる。


そういった喜びの尊さを再確認した時間だった。



 
―先日、生徒達に自分の制作した陶芸作品に値段をつけるという授業をしました。

100円や50円といった、控えめな生徒から、100万!5000万!2億!!!といった巨匠も黙る値をつけた生徒もいました。


「値段をつけることで、悩んだ人!」




値段をつけ終わってから聞いてみたところ、ほとんどの生徒の手が挙がりました。


「どうして?」




ある生徒に聞いたところ


「僕は初めて陶芸をやって、粘土もはじめて触って、最初は何をつくればいいのかわからず、いつも使う湯飲みをつくろうとやっと決め、つくるものが決まってからもうまくできずに何度もやり直しました。そうしてやっと出来た作品に値段をつけるなんてできません。」


と答えが返ってきました。


値段をつけた生徒も、同じ気持ちだったと私は感じました。

自分自身が努力をした時間というものは、値段に表せない。

授業を重ねていくうちに、ただの粘土がとても貴重なものに、自らの取り組みで変わっていったのだと思います。





プライスレス





聞きなれた言葉だけれど。

まさにそうなのだと思います。


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