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2006/12/11(月)
「父親たちの星条旗」
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いつまでも泣いてばかりもいられないと、久しぶりに映画を観て来ました。この映画のテーマであるピューリッツァー賞受賞ジョー・ローゼンタールの、兵士達が星条旗を揚げようとするこの写真はあまりにも有名なので、私もあちこちで見た記憶がありました。 しかし、実はこの時、旗は2本あったのです。原題が"Flags of our fathers"というのはそういう訳です。あまりにもバカバカしいその理由は、この映画を観れば分かります。 二本目の旗を揚げた6人の兵士のうち3人は死んでしまう。残る3人が大々的に英雄扱いされる訳ですが、一本目の旗を掲げたのは本当は誰なのか、写真に写っているのは誰なのか、帰国して後英雄扱いされている自分達は、実は人間違いではないのかという葛藤に悩まされるのです。
しかし… 戦場は文字通り、阿鼻叫喚の修羅場と化していて、Frends Fireと呼ばれる味方の弾に戦友が次々と倒れていく始末。そんなところで、一本目の旗を揚げたのが誰か、どちらが本当の旗なのかという疑問は意味を持つものであるのか? そしてそんなことを言い出したら、この硫黄島での死闘自体、ひいてはこの戦争自体がどんな意味を持ったというのか…?
観た後、改めてその背景について調べてみました。 アメリカ軍が日本の領土である硫黄島に上陸したのは1945年2月19日。島に立て篭もった日本陸軍兵22,000人の決死の猛反撃に遭い、5日で落とせるという連合軍の目論見は大きく外れ、36日間に渡っての死闘が繰り広げられます。3月26日に戦闘が終わるまでに、米軍は約6,800人の犠牲者を出したが、この数は第二次大戦全体の海兵隊の犠牲者約2万人のうちの約3分の1という数字になります。対する日本軍で生き残ったのは、千人にも満たなかったとか…
戦闘シーンは凄惨を極めています。 あの「ミリオンダラー・ベイビー」を作ったクリント・イーストウッドと、「プライべート・ライアン」を作ったスピルバーグの作ですから覚悟はしていましたが。「プライベート…」で、吹き飛ばされた自分の腕を捜す兵士の姿にも参りましたが、こちらでは、なんと兵士の生首が飛んで来ました。 しかし、イーストウッドの最近の作品がみなそうであるように、題材自体は非常に重いものですが、話は実に淡々と進んでいくのです。
最初のうちは、米軍らしく兵舎にもジャズが流れ、冗談を飛ばしながらトランプに興じる若い兵士達が、余りにも凄惨な戦場で日を過ごすにつれ、顔つきまでが変わっていきます。 三人の主要人物のうち、内面を掘り下げて描かれたのは、その一人であるアイラだけではなかったか等という不満は残りますが、戦争の重みを感じ取る為だけにでも、是非多くの人に見て頂きたい映画だと思います。
「父親達の星条旗」公式HP http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
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