Zooey's Diary
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最新の絵日記ダイジェスト
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2008/01/30 「シルク」
2008/01/17 「ル・クロ・モンマルトル」
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2005/06/26(日) 「出口のない海」
横山秀夫著「出口のない海」。
出版社のコピーは「人間魚雷「回天」海の特攻兵器。脱出装置なし。甲子園の優勝投手・並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。新しい変化球の完成に復活をかけていたが、日米開戦を機に、並木の夢は時代にのみ込まれていく。」
神風特攻隊の話はあまりにも有名ですが、海軍にも特攻隊があったということは知りませんでした。魚雷に座席と操縦桿をつけただけという特攻兵器「回天」。主人公並木の挫折、迷い、野球仲間との友情、葛藤、そして迎えた出撃…。
横山秀夫の警察物以外の小説を読んだのはこれが初めてです。結論から言うと、少々物足りない気がしました。並木をはじめ、登場人物の性格が類型的すぎる。並木はあまりにも好青年すぎて物足りないのです。この熱い青年のことを、もっともっと書き込んで欲しかった。
それでも…、死を目前にした並木の迷い、心の叫び。
息子を持つ私は思わず涙してしまいました。

「並木も佐久間も回天隊という紛れもない現実の中にいる。恐い、と一言漏らしたら終わりなのだ。死にたくないと人に縋ったら、もうこの現実の中にいられなくなってしまうのだ。(中略)男なら喜んで死ねという世界で、寝起きし、飯を食い、息をしている。我慢比べをしているだけではないのか。誰もが死にたくなくて、なのに死にたい、死んでやる、と虚勢を張っている。そうではないのか。」

そして並木は出撃していきます。ところが並木の乗った魚雷は敵艦にぶつかる前に故障してしまい、海底に沈んでしまうのです。しかし脱出することもできない(もともと脱出できない構造になっている)。酸素不足で息絶えていった彼の、口惜しさ、情けなさ、怒り、恨みはいかばかりであったか…
しかしこのあまりにも情けない結末は、無謀であったこの戦争自体を象徴しているのかもしれません。そして海の向こうでは、今でも「爆弾テロ」という名前の同じ悲劇が繰り返されているのですね…。人間はどこまで愚かなのでしょうか。1時間40分。

2005/06/23(木) ぐるぐるビーズ
ちょっと趣向の変わったネックレスを作ってみました。
中銀パープルの丸小とスワロフスキーのバーガンディを使って。実物はもっとキラキラ光って素敵です。
これに合わせてどんな指輪を作ろうか考え中です。

2005/06/19(日) 「ナラタージュ」
キャッチコピーは「壊れるまでに張りつめた気持ち。そらすこともできない二十歳の恋」「お願いだから、私を壊して。帰れないところまで連れて行って見捨てて。あなたにはそうする義務がある。」
著者は1998年都立高校在学中に芥川賞候補となって話題をさらった島本理生です。この人、1983年生まれというからまだ22、3歳なんですよね。新聞各紙に絶賛されていたこの本、期待して読んだのですが…。
文章が今ひとつ。なんとも、ぎこちない。読んでいて何かつっかえるような不器用さがあります。大学や高校の同人誌を読んでるような感じ。
それでも、それを補って余りある才能というものが、確かにあるのですね。若くて荒削りだけれども、若いからこそ書ける繊細さ、不安定さというものに胸がしめつけられるようです。それと、会話が上手い。確かに等身大の、高校生や大学生の会話がそこにはあります。
「うるさいわね、ちょっとばかり綺麗に生まれたのはべつに私の責任じゃないわよ。そんなことまで非難される筋合いはないわよ。本人なりに一生懸命生きてるのよ。」
「おまえさあ、だからって普通は付き合ってる男を辞書で引っぱたいたりしないもんだぞ」
「とっさに掴める位置に辞書なんか置いておくのが悪いのよ。雑誌ならまだ薄かったのに」
「やっぱり引っぱたくのかよ」
恋の始まりのときめきや焦燥感、忘れたくても忘れられない切ない思い、久しぶりに瑞々しいものに触れたような気分です。音楽で言うと、ビー・ジーズの「若葉の頃」(First of May)を思い起こさせるような。
「ナラタージュ」(narratage)というのは聞き慣れない言葉だと思ったらフランス語なんですね。「主人公に回想形式で過去の事件を語らせながら場景を構成していく方法」なのだそうです。1時間30分。

2005/06/09(木) 「クローサー」
久しぶりに腹を立てて映画館を出ました。私はこのDiaryには、ある程度面白いと思った小説や映画についてしか書かないことにしているのですが、今回はあまりに口惜しいので気持ちを抑えるために書くことにします。マイク・ニコルズ監督「クローサー」。
「嘘が愛を育み、真実が愛を壊す」
「カラダを重ねるたび、唇が嘘を重ねる」
意味ありげなコピーと、ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、クライブ・オーウエンという豪華絢爛たる出演陣。これでは自ずと期待も高まるというものです。
しかし。男女4人のどろどろの愛憎劇。この4人がくっついたり離れたりするのに必然性が感じられない、したがって登場人物にまったく感情移入も共感もできない。嘘と真実、駆け引きと孤独、嫉妬と欺瞞、それらが虚しく交差しているだけ。しかも一貫して「ヤッた、ヤラない」「イッた、イカない」とあまりにも原始的な論争に終始しているので、観ているほうは興ざめしてしまう。ここまで来ると「真実」とはなんなのか、(ここで言うところの)「真実」なんてそもそも価値はあるのか、と思えてきます。結局この4人とも、愛していたのは自分だけだったのではないか、それが唯一の真実だったのではないかと。
しかしこの作品、ゴールデングローブ賞2部門受賞しているのですね。この映画を理解するものを「感性」と呼ぶのなら、私はそんな感性、要らないな…。
「クローサー」http://www.sonypictures.jp/movies/closer/site/

2005/06/07(火) 「四日間の奇跡」
今週から映画が公開されたというので、今更ながら読んでみました。浅倉卓弥著「四日間の奇跡」。第一回「このミステリーがすごい」大賞受賞作品。出版社のコピーは「脳に障害を背負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する奇跡。魂の奥が揺さぶられる物語。」
言語・感情をうまく操れない少女と、指を一本失った元ピアニスト志望の青年、家族を失った女性、現実を受け止められないままに生きて来た彼等の愛と再生の物語。なんだか最近この手の小説ばかり読んでいるような気がします。心が潤いを求めているのか…?
これはミステリーというよりファンタジー小説ですね。小説の核となっている仕掛けは確かに東野圭吾の「秘密」とそっくりです。でも、それはそれとして私は楽しむことが出来ました。ただ全般に説明文が長すぎる。文章が上手いものだから淀みなく読んでしまいますが、例えば真理子が診療所について説明するくだりで文庫本にして8ページの余、ノンストップで喋り続けるのです。こんなことって普通では考えられないではないですか…。それに登場人物の誰も彼もが善人すぎる。
とは言いながら、結構ぐっときます。人の善意と優しさというものが素直に胸に染み込んでくる。ことに、明るくてお喋りで、そのくせ控え目に実直に生きている真理子のキャラが泣かせる(控え目すぎて、婚家から追い出されても文句も言わないところなど腹が立ちますが)。
「自分に価値を認めないのは、もうやめた方がいいわ。(中略)だけどさ、あたしも自分で(自分の価値に)全然気づかなかったのよ。今日の今日までだもの。人のことなんか言えないんだ。(中略)でも間に合ったの。間に合って、あたしは本当によかったの。」そう言って彼女は自分の過酷な運命を真正面から受け止めるのです。落涙。
映画を観るか否か迷うところです。2時間30分。

2005/06/02(木) 6月のシクラメン
今日トール教室の生徒さんに、「シクラメンがまだ咲いてる!」と驚かれました。私はシクラメンを長持ちさせるのが結構得意で毎年5月頃までは咲かせるのですが、6月になっても咲いてるというのは確かに珍しい。今年の冬は寒かったからか?春になっても寒さがぶり返したりしたせいか?この鉢は去年の11月頃からなので、ゆうに半年以上咲いていることになります。後ろに咲いているのはアイビーゼラニウムです。


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