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2005/04/10(日)
桜
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開花宣言が出たものの寒さがぶり返したりして中々開かなかった東京地方の桜は、ここ2,3日で見事に、文句なく満開になりました。特に明日から雨の予報が出ていてこの週末が見納めと言われていることもあって、今日は何処も花見客で賑わったようです。 私は自分の誕生日がその季節ということもあって桜を愛してやみませんが、あまりにも綺麗な桜を見ているとなんとも悲しくもなります。我家の近くに桜並木があります。今日の夕方そこを通ったときには、風に花びらが舞い散って地面は真っ白に敷き詰められ、狂ったような美しさでした。果たされなかった約束、かなわなかった想い、暗闇に吸い込まれていくような孤独感、自分が生きていくことへの茫とした不安、そんなことがらへのやるせない感情に一瞬押し包まれて思わず駆け出したいような気持ちになりました。 「桜の木の下には死体が埋まっている」と書いたのは梶井基次郎です。「桜の下には鬼がいる」と書いたのは坂口安吾です。「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならない」とは、「桜の森の満開の下」の中の夜長姫の言葉です。圧倒的な美しさの前に感じてしまう怖れや不安や悲しみといったものをよく表していると思います。まあ夜更けまで飲めや歌えの大騒ぎをしている連中に、そんな感性の持ち合わせがあるとは到底思えませんが…。
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